2012年11月18日日曜日

DVTの予防法と介入時期‏について~日本離床研究会の紹介~

今日は日本離床研究会のQ&Aでの解答をのせます。
勝手にのせて怒られないでしょうか?
問題が会った時はすぐに消します(笑)
講習会にでると定期的にメール配信がきます。
勉強になるので、シェアしたいと思います。

Q
Dダイマーが高値でDVTが疑われる場合、
間欠的空気圧迫法や徒手的なマッサージは
行ってよいのでしょうか?

A.
DVTの発生要因としてVirchowの3因子が挙げられます。
1.血流の停滞
2.血液凝固能の亢進
3.静脈内皮障害
DVTは、これらの3徴を予防することが必須となります。

DVTの予防法には
「積極的な下肢の運動」「間歇的空気圧迫法」「下腿マッサージ」
などが挙げられますが、
これらの目的は静脈流速を上げて、
DVTの発生要因の1つである血流の停滞を防ぐことです。

質問のようにDダイマーが高値でDVTが疑われる場合、
これらの手段で静脈流速を上げることで遊離血栓が血管壁から剥がれ、
肺血栓塞栓症を引き起こすことが予想されます。

肺血栓塞栓症の原因のその多くはDVT由来のもので、
発症すると死に至る重篤な合併症です。

DVTが疑われた際は、
静脈エコーやCT造影などの検査で確定診断がつくまで
これらの予防法は行わない方が良いと考えます。

時期を見計らって適切なアプローチを目指してくださいね!

という内容です。

実際臨床でぼくがみているのは
1.Dダイマー>20μg/mlである事
2.足背屈exにてガストロ痛がある事
3.明らかな左右差の腫れが見受けられる事です。

このような状態になると血流が滞り、下腿で血栓ができやすくなり、
それが肺塞栓や脳塞栓を起こす危険が高いからです。

急性期ではTKAやASOの患者さんでみられる事が多いので
リハ開始1週間あたりまでは気をつけています。

2012年11月16日金曜日

声かけひとつでまったく動きが変わると思ってます。

リハビリをしていて何度も聞き返されたり、理解してもらえない事でありませんか?

ぼくは臨床2-3年目ぐらいまで
何度も確認されたり、聞き返される事が多かったです。

なんで伝わらないんだろうか?
ずっと悩んでました。

ある時に気づいたんです。
自分の感覚のみで話してはいけないという事でした。
あくまでも自分の説明の仕方が悪いという事であり、
指示の仕方をもっと分かりやすく端的にいれるようにしていく事が大事だったんです。

つまり相手がどうやったら理解できるのか?に終始した言葉づかいをします。

たとえば、カーフレイズで例えるなら・・・・

理屈的には、
かかとをあげてください。
つま先立ちをしてください。

です。

感覚的には
背伸びをしてください。

です。

視覚的には
(カーフレイズをみせて)ぼくの真似をしてください。

触覚的には
(ふくらはぎをさわって)ここを使ってください。

です。

全部同じ意味です。
でも人によってどれが一番わかりやすいのかは違います。

なので自分の方法にこだわるのをやめて、

相手に伝わる内容ならそれが一番と思うようになりました。
(ごく一例ですが。。今さらって思った方がいたらすいません。)


そしてもう一つ意識している事があります。
あくまでもこちらで評価して治療選択した運動を実施してもらっているので
どこがよくできているのかを必ずフィードバックしていく事を忘れないようにしています。

具体的には
3つほめて、1つ修正してほしい所を伝えます。

できれば具体的にほめます。

今日は杖ができましたね、
歩き方がバランスよかったね、(TUG~秒ですよ。)
いいスピードでした。(10m歩行スピード~秒ですよ。)

前回よりも(~秒くらい)よくなってますよ。

なので、
もう少し踵から歩行できるとなおいいですね。



そんな具合です。


ただそんなにないよって事もしばしばあります笑

そんな時は

いいですね。いいですね。いいですね。

もう少し大股だとさらにいいですね。

極端にいうとこれでもいいと思います。
やってもらった訓練によって

あなたの動きが変わっていますと気づいてもらえるように
アプローチする事は大切だと思ってます。

2012年11月8日木曜日

動作の制限因子×訓練方法のチョイス×予後の判断

歩行訓練や動作観察している時に筋出力低下している事が
動作の阻害要因であると考えた場合、
1痛みによるものなのか、
2恐怖心によるものなのか、
3本当に筋力低下によるものなのか

を評価して行ってください。

痛みによる原因ならリラクセーションや投薬、痛みがでないOKCやactive-exの運動に変える事
恐怖心による原因ならで手すりを把持する、杖を使うなど能力を発揮しやすい環境をつくっていく、
筋力低下による原因ならベッド上での個別徒手訓練や重錘筋トレをする

等が必要だと考えます。

訓練のチョイスの仕方について。
体力ある人、ない人さまざまです。

もちろん体力あれば個別筋トレ、抗重力運動をやってから歩行訓練へと
積み上げていくトレーニングを行います。

しかし易疲労性が強い場合は訓練でのこまめな休憩をいれる事が前提ですが、
ポイントはできるようになってほしい訓練を先にやってしまう事、
つまり一番目的としている動作訓練だけでもいいからやってしまいましょう。

体力あれば個別に弱い所を集中的に鍛えて、その後に目標とする動作訓練をする。
しかし体力なければなにができるのかに着目してトレーニング。
そんな感触でしょうか。

最終目標やその本人の予後についての判断について

これはやはり経験による所が大きいと思います。
ぼくは急性期のスタッフ経験があるので
急性期で3週後にどのような変化があるのかはわかります。

しかし2年後どのようになっているのかはわかりません。
それは僕が経験していないからです。

ただ急性期発症後のからの1ー2カ月間のリハビリした少しの経験で話しますと、
回復が見込まれる人は

意識がはっきりしている事、
訓練開始の1238日の評価で明らかに改善していく事が重要だと思います。

なので初回の状態よりも回復期が妥当だと思う人は
訓練での、のびしろがあるかないかが重要だと考えます。

学生の時としては「リハビリをやる」=「必ず機能が改善する」という意識が強すぎる場合があります。機能改善が厳しいとわかった時に、その現状の能力でいかに環境に適応する事ができるのかを考える事も必要だと思ってます。

それは決してあきらめているわけではありません。
歩行訓練ばかりしていて、寝返り~トランスファーが全介助ではあまりに実用性に欠けるという事です。

つまり生活復帰においては実用性も求めなければ、本人も家族も困ってしまうと思うのです。
転帰先とその期日を意識して、能力upを求めるべきか、社会適応を求めるタイミングなのかの
バランスを持って取り組みたいと思ってます。

2012年11月1日木曜日

治療は評価、評価は治療、決して別物ではない~

よく感じる事ですが、は学生さんはとりあえず評価用紙を埋めるために
評価を個別に細かく行って、その内容をダイナミックな起居動作や歩行とつなげて考えられず、
評価のための評価をしているなとおもう事があります。

それはぼくも自分自身が学生や新人の頃、
自信がなくて必要以上に評価してしまった経験があるからです。

本来評価とはどこに機能障害の影響がでているのかを考えるものであるべきなのに、
評価のための評価を1つ1つを個別に考えてしまい、動作と関連づけられていないんです。

極端な言い方をします。
評価で「できない」事や「機能障害」があってもいいじゃないですか。
大切なのは患者さんのニーズに対して
「どうやってできるようになるのか」に応えていく事だと思います。


たとえば、麻痺側にクローヌスがでていたとします。
しかしそれが立ち上がりや歩行訓練中に動作の障害にならなければ、
あまり考慮する必要はないと思います。

しかしその症状が立位バランスを崩したり、歩行Swing時に
つまづき動作がでるような歩行障害を呈したら、装具を着用するなどの考慮は必要です。

評価はあくまでも機能障害がでてくるであろう症状を考慮し、リスク管理をして
ダイナミックな歩行訓練などでチェックします。
この時点でこの歩行は評価であり、またすでに治療になっています。

初期評価時にはベッド上でありとあらゆる評価をしてしまいたくなる。
しかし治療自体が評価であり、問題点の抽出であり、
評価項目はあくまでもその手段なだけだと思ってます。


少し難しいいいまわしでわかりにくいかと思いますが、
要は治療と評価は別物ではない、という事です。

たとえば麻痺の影響が強いのか、失調なのか、微妙に迷う時があります。
そんな時に考える事は

麻痺だったら、回数こなすと出力が減弱していくな。
失調だったら、最初からコントロールできないだろうな。

患者さんのコメントも違ってきます。

麻痺なら「手足が重い」って話すし、
失調なら「思うように動かない」

って話す事があります。あくまでも一例ですが。

検査レベルでは症状なくても
立位や歩行になってはじめて症状が顔を出す場面もあるので
評価と治療を分けて考えずに疾患からイメージをもって、
動作での障害を見逃さないようにその時の反応をとらえていきたいなと思ってます。