2012年4月22日日曜日

足部骨折~外来フォローで全荷重歩行を実施してリハを終了する時までに追っていく経過

足部の三果(内果、外果、後果)骨折や
脛骨遠位端骨折等で外来リハビリを実施する事があります。

その際に心がけている事は、「痛みを引き起こさない事、痛みにつなげない事」です。

まず最初に状態を聞きます。本人の自覚症状としていいのか、悪いのかを判断します。
その後、足部の腫れと熱感の左右差をみます。
前回との違いを確認するために内外果、あるいはMP jointを確認します。
(廃用による筋委縮の影響を受けない部位のため)
計測して「前回とくらべて~cm改善あります。あるいは~cm腫れてます。」と具体的に伝えます。


いい場合は「順調ですね!」と伝えます。
また「歩くと熱感増えますか?」と聞き、 普段の運動量と運動での熱感のありなしを確認します。 悪い場合は「普段痛みはないですか?」「坐っている事が増えましたか?」等の
生活スタイルを確認します。

実際には足部の骨折の方は足部以外は元気なので、気にしない方が多い印象があります。
だから、できる限り悪くなってしまう原因を話をしながら、
本人に気づいてもらえるように話をします。

そして、痛みがあれば痛みどめを使う事、
腫れが残る場合は足を挙上させる「時間をつくる」ように伝えます。

またFWBを開始してから痛みがでる人もいるので、
片松葉杖は動く量とその時の痛みにあわせて、
屋内は独歩、屋外長距離なら松葉杖を使ってもいいですよと
徐々に松葉杖をはずせばいいと伝えます。

熱感がなければIcingは必要ないと考えています。
急性期は冷やします。運動量が増えて熱感がでたら冷やします。
つまり、急性期だからIcing、慢性期だから冷やさないというわけではなく、
必要に応じて冷やし、基本は温めて細胞と運動器が適切に反応できる患部に「つくっていく」事が大事だと思います。

また、全荷重がはじまって、立脚後期にて跛行を呈する場面もあります。
これはおおむね下腿三頭筋の筋力低下による影響があるので、
片足カーフレイズで筋力評価をして確認して、 自主トレーニングを励行し、
歩行場面では左右対称の歩行リズムで歩く事を指導します。
(適宜、両手を大きく振ったりしながら左右対称性をひきだしたりもします。)

足背屈のROMについては全荷重を開始したら、
立膝の状態で身体で膝をかかえながら、前傾して荷重をかけながら実施。
足底屈のROMについては内外反が許可されていれば、
四つ這いから徐々に正座exへすすめていきます。

足部の柔軟性やモビリティーはその後の運動パフォーマンスに影響を与え、
その後のスポーツなどの運動習慣がある人には
特に代償動作によるその他の部位への機能障害や痛みを 引き起こしてしまう可能性をもっています。 本当に発症後の治す時に治しておかないと後で動きが悪い、やっぱり痛くて歩けないねとなってからでは 取り戻すのにすごく時間がかかるので、
しっかりと自分で身体の「ケア」を意識してもらえるように 伝えられればと思います。


追記:
部分荷重時のROMと筋力exについて もちろん指示にあわせてですが、
NWB~1/3PWB時は、 足はタオルを使用してのassist-ROMexや
足指は徒手で入念に実施してもらいます。

筋力は緑のセラバンドを使用しての底屈exを励行。
またNWBより中殿筋の低下が起こらないように股外転exは励行します。
1/2PWBになってからは ROMはself徒手にてROMexやハーフスクワットやカーフレイズでの筋力exを実施しています。


【音速パソコン教室】
http://onpaso.org/a8m/

 

2012年4月15日日曜日

訓練中に心がける事~訓練環境を整える。用具や徒手での誘導、声かけで+αのリハビリをデザインしていく~

毎週土曜更新!と宣言したからか、多くの方にまたみていただけているようで嬉しいです。

今日は片麻痺を有する患者さんを想定した訓練場面で考えていますが、
どの患者さんでも必要ならば気にしています。
訓練中に心がける事は、立ち上がり時は3つ、歩行時に1つあります。

1.「そんな事したらできるようになるにきまってるじゃないか!」と思ってもらえる訓練環境をつくる。
代償動作等を行わせない、正常動作に近い動作しかできないポジションをつくる。
具体的にはクッションなどを用いて座面を高くする事。声かけや徒手で誘導をして前傾姿勢を促す事、
上肢でひっぱる動作が強ければ、握れないように板の上に手をおいて床を押す意識を促す。
結果、本人に「これならできるかも」と思ってもらえる所まで難易度を簡単にし、回数をこなせるようにする事

2.訓練前後、訓練中のバイタル管理を行う。
特に立ち上がり訓練をはじめてから3日間は確認。運動量を増やしたり、難易度をあげた場合も適宜確認。
訓練中は本人の疲労感や表情をみて確認。

3.正常動作に近い動きへの誘導、その際の筋収縮を徒手で触って確認を行う。
慣れてきたら軽介助であっても正常動作に近づくように誘導。
特に膝関節を触りながら四頭筋収縮を触知し、促しながらトレーニングするだけでも筋出力は上がります。

4.歩行中では、倒れやすい方向に介助に入る
倒れる方向は患側であっても、患側の前方なのか、後方なのか、反応は様々です。それを見極めて、
倒れやすい方向の場所に自分が支えられるポジションにいる事が重要です。前方に倒れやすい人は、
胸骨を支えて、いつ倒れてもいいように準備します。

訓練の選択、順番、負荷量は本当に難しいと思います。
しかしそこに思いがいっちゃうと患者さんの顔をみる余裕がなくなります。
そうなると、何が適切かがわからなくなると思います。
まず、自分は落ち着く事。そして「これくらいはできる」と評価して見極めた動作訓練を行ってみてください。
それが適切かどうかは患者さんが教えてくれます。

思ってたよりも動けなかった時は自分が過剰評価しているか、見落としている評価があります。
簡単にできた場合は、適切な負荷でなく、その日の訓練効果が薄くなってしまいます。

理想は自分が評価から考えた動きに近い動きをしていて、
訓練後、「ちょっと疲れたね、ただ一日一日変わってるね」という
笑顔と充実感が伴った感想をもらえたら、それは適切なリハビリができた証拠。
「今日もよかったですね。」と患者さんをほめてください。具体的にほめてください。

そして、いい訓練を提供できた自分もほめてください。
自分が患者さんの顔をみる余裕をつくるために、お互いにやりやすい環境をつくる事、
訓練効果を確かめられるように、相手に触って患者さんの状態を「手に残していく」事、

ちょっと抽象的になりましたが、相手の能力を最大限に活かすために、
「見て、聞いて、整えて、触って、ほめる。」
自分自身ができてると思った事は一度もないですが、「少しでもいいものを」提供したいなと思います。

2012年4月7日土曜日

なぜ理学療法士入門をつくったのか?~経験を共有する事で生まれる事~

まだまだ10本くらいしか書いてないのですが、「エピソード0」的な話をしてみたいと思います。
きっかけはfacebook作成中に

「なぜ「理学療法士入門」ってブログをつくったのか?
って発想からその理由を自分で考えてみたからです。
(もしよかったらfacebookもよろしくおねがいします。友達申請も大歓迎です。)

仕事はどこまでいっても目の前の相手の満足度​を追求していく事が第一。
ヒューマンビジネスであるリハビリは、直接目の前にいる相手に触れて
評価・治療・生活コーデ​ィネートしていく貴重な仕事。
だから担当するすべての患者さんに対して​責任がある。

そのために日々、治療技術の追求していく事と適切な評価から
正しくアプローチするリハビリをしていく​ために必要な考え方を探求する事は「内向きに」必要な事。

そして「外向き」に必要な事。
それは自分が経験した内容を「次世代」の​人へ最短距離ですすめるように、
同じ悩みを少しでも楽にクリアし​てもらえるようにつたえていく事。
(本当は経験しないとやっぱりわからないのが答えだとわかっている事です。だから臨床が第一だと思います。現場対応が8-9割を占めるんじゃないかとも今は思ってます。しかし、できる限り知っておく事、準備しておく事、具体的な場面を想定して捉えていく事は重要だと思ってます。)

またアウトプットする事で自身の考え方の整理にもなります。
だからこうやって情報提供する事はみてくれる人も書いている僕自身にも有益だと思ってます。

その自分の経験がみんなの経験として、シェア​できたらいいのではないかと思ったからです。
そしてそれがfacebook/twitter/mixiの考え方だと思います。

「インターネット上にもう一人の自分をつくって発信していく。」

MSWの親友と話してピンときた一言でした。
(新人医療ソーシャルワーカー(MSW)見聞録(http://wish0517.blogspot.jp/)もぜひ!)

こんな事を書いているけれども、実際はまだまだです。
それは僕が未熟だからで​す。もっとそれでもなお!真剣に挑戦できていないからです。
でも、その自分も受け入れてます。できなかった時は、まいっか!っ​て思ってます笑。
ただそのままにしないように、次はどうしよう。できる方法を検討します。

言うは易し。行うは難し。まだまだ実践中です。

追伸:
一般向けに、この理学療法の良さと必要性をわかりやすく伝えるブログも作成します。

また自分の考えに至るまでの経緯とその時に出会った書籍、人との会話​、会社経営者のドキュメント、
また今後新たに出会う人々から教えて​もらったピンと来た一言をupしていき、
「リーダーシップとは何か?」も具体的に考えてみます。

2012年4月1日日曜日

自分で座れない~脳卒中でマヒが重度の場合~治療編~

やっとこれをかけるタイミングになりました。
お待たせしました!!!・・・・・

あ。待ってないですね。勘違いしてすいません。
何かの治療の足しになれば幸いです。はい。

治療はその人によって異なるので一概には言えないですが、
「初期評価」編で書いた時の患者さんを想定して話をすすめます。
o.被殻出血
1.意識状態:クリア。年齢もクリアだがDMあり。
2.Br.Stage:下肢Br.stage Ⅱ-1 健側筋力 5レベル
3.座位バランス:手で支えれば静的保持可
4.筋緊張・腱反射・クローヌス
  安静時でかなりトーンが高く、クローヌスも膝・足ともに著明
5.ROM・深部感覚
 ankle df 0(passive) SLR 45°
 深部感覚は重度鈍磨  
6.寝返り動作:上肢介助して中介助

まず考える事は出血なので血腫がひけば改善早いかなと考えます。
感覚としてですが、やはり梗塞よりは出血の方が直りが早い印象があります。
既往にDMがある事を考慮するとやや疲れやすいだろうなと想定します。
また訓練を考える時、筋緊張を増悪させないように麻痺促通exを考慮する事、
深部感覚障害があるので、視覚的なフィードバックを鏡を用いて行う事、
寝返り時に上肢を忘れるので亜脱臼しないように注意していきます。

その中で訓練メニューとしては
麻痺促通ex・寝返りex・端坐位exを体力にあわせて10回を目安に実施します。

麻痺促通exでは徒手で内転と股屈曲だけを実施しました。理由は徒手exにて筋緊張があがってきたからです。途中から内転exでもトーンupしてきたので股屈曲のみを実施していき、
動作訓練を通しての筋力増強に切り替えました。

ROMexでは足背屈・SLRexを30秒以上かけて筋が緩むのを待ちます。
Ⅰb抑制の生理現象を期待しているからです。そして終わる際にはゆっくりと戻します。
クイックな刺激は筋緊張を誘発してしまうからです。意外と重要だと思っています。

寝返りexでは端座位バランスの向上を目的に実施します。
寝返りをくりかえす事で体幹の協調性をあげていきたいからです。

適宜休憩をいれながら、次に端座位exを実施。その際は鏡を前に用意しています。
膝周囲もハンドリングでサポートしたりと適宜assistを加えていきます。
その時のupしてくる反応によりますが、
静的保持→外乱ex→動的バランスex(体幹を前傾する訓練:最初はassist→徐々にactiveへ)と
徐々にレベルupしていきます。

その後、端座位exにて外乱にて保持できるようになってきた所で立位exを実施します。
特にこの患者さんは立位になるとgastroの筋トーンがあがってきてしまい、
立位バランスに大きく影響をだしたため、AFO装具で抑制をかけながら実施しました。

筋緊張の考え方としては、その筋緊張が動作上での阻害要因になる場合は考慮にいれますが
ただ臥床位にて筋緊張が高くてもあまり気にしていません。

この場合は最初は静的保持がやっとですが、あえてそこから体幹と患側下肢を全介助してでも
手すり把持してもらい、腱側の足をあげて、患側荷重exを実施していきます。

何かしらの感覚フィードバック(振動感覚・荷重感覚etc)を促通していく事で、
新しい身体の状態を把握してもらい、要領を得てほしいからです。

その訓練をつづけていき、軽介助になってきた所で歩行訓練に入りました。
(本当は全介助でもknee Braceつけてでもやりますが、この方は80kg以上あったので
 安全面を配慮しました。)

歩行訓練も最初は1往復から。徐々1往復×3セット。3往復×3セットと漸増的にあげます。
そのタイミングですが、やはり訓練時間は限られているので、どの訓練に重きを置くのかは
その人の状態によります。
寝返り・起き上がり・トランスファーは軽介助まで到達していたら歩行量をどんどん増やします。
起居動作ができていないのに歩行訓練に時間をかけるのは効率的じゃないと思ってます。



今回は訓練の中身を考慮していきました。
やり方・考え方は人それぞれです。どんな方法でもいいと思います。
ただ、いつも心にとめる事は

本人とその家族が望むゴールを最大限に考慮していく事であり、
その目標から逆算して考えていく事。

歩きたい。その目標は到達可能なのか?現実的か?現実可能だろう。でも。。。。

3カ月かかるな。そう判断したら、
1か月でどこまでできるようにしていこう。
1週間でじゃあここまでできるようになってほしい。

だとしたら、今日1日のリハビリで

ぼくはどこまで訓練時間の作り方と訓練「内容にこだわってリハビリしていけるんだろうか。

自然回復があるので、どんな内容でも改善するとは思いますが、
やっぱり自信を持って、いいものを提供したい。
そんなこだわり、プライドを持って仕事したいなっていつも思います。