2012年1月28日土曜日

2型糖尿病の運動療法後編~糖尿病療法指導士としての役割~

c.どれくらいやるの?
直後効果としては、
1日合計で!!1時間です。消費エネルギーとして240kcalを消費してください。
毎日運動する事が最終目標です。
分けても良し。まとめても良し。量をこなすが良しです。
20分をまとめてでもかまいません。3分と小分けにしてもOKです。

実際は生活動作でデスクワークや屋内生活中心の日は
実質、20分は動いているので「40分」分の運動をお勧めします。
通勤など、屋外生活が中心の日は40分は動いているので、
実際には「20分」分の運動を行うと思って下さい。


こう聞いて・・・・・いや~毎日は厳しい。
そんなにできる暇がない。そんなにやれないよ。
そう思う人がほとんどだと思います。
なぜならもともと低体力の方が多いです。
糖尿病は生活習慣病である事からも、運動する習慣がない人が多いです。
(習慣の行動変容については後日記載。)


そこでアピールすべきポイントは、
継続効果についてです。またこっちがかなり重要です。

運動によって血糖が筋肉に入り込みやすい状態は48時間つづきます。
なので週3回(ex:月・水・金・土日のいずれか)と1日おきで実施してください。
3日目以降から運動による効果が減弱していき、1週間でなくなると言われています。
なので、まったくやったことがない人は最低でも週1回から始めてみてください。
そして何曜日の何時にやろうと決めていってください。

例えば・・・
体重65kgのあなたが20分運動したと仮定するとこれだけ消費されます。

(目安)
歩行 68kcal
体操  80kcal
自転車 90kcal
掃除  80kcal

d.いつやるといいの?
食べ始めから60分後です。空腹時・食直後を避けてください。
これは2つの理由があります。
1つは食後の高血糖を改善する目的。
2つには運動中の低血糖症状を予防するためです。
特定の薬物療法中(インスリン療法やアマリール等SU薬etc)の方は、
60分後程度に行うのが適切です。

e.運動前の準備として
1.風邪などの症状なく、体調は良好か?
 →シックデイ時は血圧・血糖ともに不安定になります。
2.足のサイズに合ったシューズか?
 →糖尿病からの皮膚損傷を起こさないため。(靴ずれ等)
3.こまめな水分補給ができるか? 準備体操は行ったか?
 →血液循環を良好に保ちましょう。
4.万が一の低血糖発作のためにブトウ糖は持参しているか?
→ジュースやお菓子でも構いませんが、
  お薬と同時にもらうブトウ糖の方が消化する過程がなく即効性があります。

3.運動を「続ける」には
1.なぜ運動がいいのか。知識を理解する事が必要です。
ex:糖尿病教室の利用
2.具体的に目標を立てる 
ex:いつ運動するか?(木曜19時etc) 
   どれくらい減量?(体重計に乗る)
3.実施記録をつける
 ex:カレンダーに記載。万歩計をつける。 数値をみてモチベーションを維持。

注意点(疾患別)
・高血圧を持っている人は朝の運動は控えてください。
 血圧が乱れやすいからです。
・関節に炎症を伴う痛みがある場合は座位など痛みのない運動を優先してください。
・糖尿病性足部病変が近年、増加しています。
 フットケアの徹底(足裏のチェックや爪の切り方等)と適切な靴選びを徹底してください。
 また無理に歩行にこだわらず、ハーフスクワットやカーフレイズ等の抗重力運動を
 推奨してください。
・狭心痛をきたす恐れのある人は 屋内にて環境温度を保ち、
かつ人と一緒に実施してください。

気をつけなきゃいけない点はあります。
しかし糖尿病は自分の身体をしっかりコントロールすれば
健常人とまったく同じ生活をする事ができます。
大切な事はその人の生活にいかにバランスよく、
食事の取り方・薬の使い方・運動の仕方が行えるかだと思います。
少しでもその人の心が納得できるような話を伝えられたらとつねづね思っています。

2012年1月22日日曜日

糖尿病の運動療法前編~糖尿病療法指導士としての活動~

もともと内部疾患に興味を持っていた所で職場での人との良いめぐり会わせがあり、
病院の糖尿病のチームに参加させてもらってます。
これから書いていく内容は僕が2年間かかって勉強した成果です。
だから少し長いです。少しややこしいかもしれません。その時はすいません笑
ただ少しでも伝わって、考え方の参考になれば本当に嬉しいです。

結論として、大事なポイントは2つ。
1.きついのはダメ!
2.量をこなす事が重要

という事です。
<3つのテーマ>
A.運動の効果は?
B.どんな運動がいいの?
C.運動を「続ける」には?
にしぼって話していきます。


A.運動の効果は?

運動の効果は、
「動いて血糖を消費する」
「血糖をとりこみやすい筋肉づくりをする」
の両方があります。、
直後の効果(急性効果)と 継続の効果(慢性効果)です。

運動の直後効果は直後に血糖を下げます。
食後の高血糖を指摘されていて改善をはかりたいのであれば、
食後(食べ始め)から1時間後に運動すると効果的です。

大事なのは2番目。
継続的に筋肉に糖が取り込まれる筋肉(体質)にする事です。
ある一定の方法で行うと運動していない時でも、勝手に血糖が筋肉に入っていきます。
そしてその運動による効果は48時間続きます。

B:どんな運動がいいのか?

a.運動の強さ
年齢によってやや異なりますが、
脈拍数が1分間に 100~110拍程度 (目安)の運動が適切と言われています。

しかしここで重要なのは自覚症状(Borg Scale)です。
目安は11: 楽である~14:ややきつい~きついの間です。

運動しはじめの方、低体力な人は11をすすめています。
理由はややきついでは長続きしないからです。
その日の量もこなせないですし、次の日、次の週に向けても
運動を続けられない、続けようという気が起こらないからです。
大事なのはいかにやってもらえるか、いかに続けてもらえるかが大事で、
ポイントにもあげた通り、量をこなしてほしいからです。
運動慣れしてきた人は14まではOKです。

b.運動の種類
何でもいいんです。
筋力トレーニング・腕を振って歩く・体操(ラジオ体操、太極拳etc)
プールで泳ぐ/歩く・自転車こぎ・自宅の掃除すべてOKです。

歩行を良くすすめられると思います。
それは歩行が一番簡単に全身の筋肉を動かす事ができる運動だからです。
ポイントはやり方が大切だという事。
よりたくさんの全身の筋肉を動かしたいので、
いつもより大きく、ダイナミックに動いてください。
その方法の一つが「手を大きく振る」という動きです。

またいろんな種類の運動を組み合わせると効果的です。
いろんな動きをする事でいろんな箇所の筋肉を動員できるからです。

ただ大切なのは相手にとって「これなら続けられる」「これは好きだからやる」と
思ってもらえるかどうかです。
なので、できる運動で習慣してもらうが大事だと思ってます。

例えば・・・
変形性関節症などの影響による痛みがあれば水中歩行やハーフスクワット。
雨の日で外にでれない時でも室内でラジオ体操。
歩くのが辛ければ自転車こぎ。
運動がちょっと気がすすまない、忙しい主婦(夫)であれば掃除などの生活動作を
大きく動いてやってもらうのも運動になります。
(ただし生活習慣病の高血圧症や高脂血症の場合は、
 掃除などの生活動作は除外されると思います。)

                                  ~後編に続く~

2012年1月16日月曜日

筋力 臨床家が考えている(であろう)MMT0.1.2,3-,3,3+,4,5の違い

「筋力は質的な動きを評価するんだ」
25年のベテランが言っていた言葉です。 ブレイクテストで習うぼくには

。。。。。質。。。。????
筋力なのに。。。。。質???
って何だ。それが最大の疑問でした。

実際にどのように判断するのかの基準を
ベテランのアドバイス+自分の発想をあわせて端的に書いていきます。

MMT 0-2
ポイントは麻痺していると言う事。
麻痺の度合いの表記という発想。
1年目の時、術後の患者さんの
筋力評価で股外転MMT2とかいて怒られました。
「何だ。麻痺があるのかってね。」

MMT 3-,3
動かせるけれども自分で思うようには動かせない。
(3-:教科書的には抗重力域に対してROM最終域まで動かせない)
(3:教科書的には抗重力域に対してROM最終域までは動かせる)
ポイントは動きが「かなりゆっくり」という質がある事。

実際にMMT3の動きをイメージして真似してみてください。


。。。。。。。。



そう!そのゆっくりした感じです(笑)


術後の浸襲等に伴う痛み等に伴って、筋出力がうまく発揮できないなんだと伝えたい時。
また座位では(OKCでは)自由に動かせるが、
体重がかかるとうまく筋力を発揮できない状態という事。
(中殿筋の筋力低下でトレンデレンブルグ兆候がでる等)

MMT 3+
自分で自由に動かせる事ができ、体重がかかっても
短距離であれば歩行に影響ないだろうと判断している時。
またここまでが個別の筋力が必要と判断していると伝えたい時。

MMT 4.5
ここで考え方が変わる。
5とつければ動きに障害があっても筋力トレは必要なしと判断。
また何か歩行障害がある時、筋力は問題ないと
判断していると伝えたい時。

4は歩行などの動作に大きな影響はないが、
バランストレと筋持久性upが必要と判断していると伝えたい時。


見極める事はすごく難しい。ただMMT ? って書いた時に自分の意志を反映させてほしい。
そしてその評価は本人の動きをあらわすものであり、また相手に納得してもらうためのもの。

第7版のMMTの教科書にはかいてない事ですが、臨床での生きた評価方法だと思ってます。

2012年1月9日月曜日

評価~動作が上手にできない。~

少し概念的な話になります。
今回のポイントは、
評価は相手の適切な身体機能と理解力を把握する(基準を持つ)事と
相手にあわせた適切な声かけ、ボディーランゲージする(伝達手段を持つ)事が重要という話です。
「うまく立てない」場合を例にあげて考えてみます。

例えば自分が評価して、相手の動作が予想していた動作と異なる場面があります。
ここで最初に考える事は何かしら自分の身体機能評価において、
評価もれor過大に評価している事を考えます。
そんな時は相手に「どうですか?」と確認。「大変。」「痛い。」などさまざまありますが、
「どこですか?」と確認。「腰。」「膝」さまざまですが、その部分とその部分の身体機能の上下
(膝なら股・足部のチェック、腰なら体幹、股部のチェック)のチェックをして再評価します。

 もう一度チェックしてやはり機能的には立てるだろうと判断したとします。
その次の問題点は「身体の使い方がうまくわからない」場面です。
相手は怪我や病気によって入院し、またそれによる廃用などの影響から「新しい身体」の状態で
リハビリがスタートしています。

そんな時は環境設定をしていきます。
・具体的には手すりを持たせる(上肢の介助を利用する)
・座っている座面を高くする(運動負荷を下げる)です。
つまり動きそのものを思い出してもらうために反復練習をします。
その際、ハンドリングと声かけにて正常の立ち上がりパターンを誘導して
動きを覚えてもらうorさらなる運動負荷の軽減をはかります。
(ここは経験を積んだ先輩PTはかなり適切。ぼくはまだまだ未熟です。)

もうひとつのポイントは「声かけ」の仕方です。
(ここも経験を積んだPTの先生達のうまさですが。。。口頭指示でもできる人はできます。)
口頭指示だけではなく自分の身体を使って、例えばジェスチャーや見本をみせて伝えます。
理解していると実践できるとは別問題だからです。
(イメージとしては自分自身が新しいスポーツをやる時と一緒で、「口説明のみ」と「口説明+プレイをみる」だとどっちがわかりやすいかという感覚でとらえてもらえればと思います。)
なので相手をみながら、なるべくわかりやすく、シンプルにする事を心がけています。

ここから最近いつも考える事は、
伝わらないのは自分側の説明不足なので、決して相手は悪くないって事です。
必ず本人にわかるようにいろんな方法で伝えてください。
実際には認知症が重度の相手もいて、指示がまったく入らない場面ももちろんあります。
たとえそうであってもできる方法を評価して、目標を立てていく事が大切と思ってます。

そして後は反応良くできたら、ほめてください。できる限り具体的にどこが良かったとほめてください。訓練が終わった時、お互いに笑顔で終われる事を意識して日々取り組んでいます。

2012年1月7日土曜日

はじめに~ダメな僕でも人並みになるために~

僕は自分の事をできるPTだと思っていた。いや、できるPTだと勘違いしていた。
今から考えるとそう思わないときっと自信が持てなかったんだと思う。
そんな心持ちで取り組む仕事はやはりいい仕事ではなかった。
まわりから言われるごとに1つ1つの問題を自分なりに解消していった。それでも言われ続けた。
「いったい何がいけないんだろか?」その疑問はどんどん強くなっていった。
自分の仕事に対する取り組み方、考え方の根本に疑問を持つようになった。

その時、最初に感じたのは時間の組み方、タイムマネジメントの組み方が悪いという事だった。
(本当はここは2番手、3番手に考えるべき事なんですが。。。。)

担当する人数が20人前後になってくると訓練時間が進むとともに待たせる患者さん(訓練室に同時にいる患者さん)が4-5人と多くなり、それに対してあわてふためいた動く自分がいて、その自分をみてまわりのスタッフが「何にもリハできたいないじゃないか」と判断する基準の一つなんだと感じた。

2つ目には1人1人に対する患者さんへの評価・対応の仕方でした。
(これが一番大事な事です。改めて感じる事です。)
僕は頭がいいと(・・・・・勘違いして)思っていたので、
相手の話を少ししか聞かず、自分の感覚を働かせて、きっとこうだろうなと勝手に判断していました。そしてその感覚が70-80%は合っていたのでそれでうまくいっていた感覚があったし、患者さんは体を動かすこと・動けるようになる事を目的に来ているんだからそれでいい。20人もまともにみれる時間もないし、等といろんな「できない理由」をつけて相手をないがしろにする場面もありました。
(今、考えればたいした事できないのに偉そうに仕事をしていたと思います。)

そんな僕でもリハビリが終わって退院した患者さんの中には、診察を受けに来た時に「ありがとうね」とお礼を言いに来てくれる人もいたので特に大きな違和感を感じていなかったのです。

そんな中、腰のre-opeで予定手術を受けに来た50代男性を担当した時に喝をいれられました。
「俺はない時間をつくって手術を受けに来ているのに何だお前のその態度は!」
また技師長からも「お前は患者をなめてる!おまえやめろよ!」と言われていました。

それはちょうど2-3年目の時でした。
自分としてはしっかりと「体への」アプローチはしていたので、何でそこまで言われるんだろう?
まだまだ技術が足りないのか?いろいろ思い悩みながらもまた次から次へと怒られる日々が続きました。

技師長からは「とにかく患者をみろ」と言われました。
(言われた当時は心の中ではみてるわ!!と思ってました笑)
それからただ誠実に誠実に、しっかりと話を聞いて対応していきました。

すると自然とスムーズに訓練が進むようになったのです。
また患者さんの笑顔も心なしか多くなり、今までより多くの人の共感を得られるようになりました。

技師長からも
「しっかりみれば患者が変わってくるだろう」と言われるようになった。

何が変わったのか?
それは話をより徹して聞くようになった事。
何を訴えているのかを正確に捉えられるようになり、
評価をマニュアルに乗っ取ってのみやるのではなく、
患者さんの訴えをもとに必要な部分だけに集約してとらえる事ができるようになったからだと思う。

患者さんは訴えを聞いてくれているPTに安心できる、PTもその訴えを中心軸にとらえて評価する。
患者さんは動けるようになって嬉しい。ぼくは正確に評価できる、訓練もシンプルでいい。

相手の体の状態と心の訴えに対して、win-winの関係性をつくれたからだ。

これからブログをupするにあたって、
評価の仕方、訓練の進め方等を更新していきます。
しかもできる限りシンプルな内容にします。
「え?そんな内容も??」って部分もあると思います。
(その部分は読み飛ばしてください笑)

そしてあくまでも参考の意見としてとらえてください。
(できる限り考えの根拠は文献や教科書から抜粋していきます)
読んでくれているあなたも違えば、現場で対応していく相手ももちろん違うからです。
ただ少しでも悩み解決のたしになれば嬉しく思ってます。

1つの変化を見逃さずに適切なアプローチができる事を目指して精進していきます。
目指すは患者さんが喜び、その喜びが自分の喜びになり、部署と病院に貢献していく
「win-win思考」を超えた「win-win-win」思考!