2012年3月21日水曜日

なぜもとのADLは歩行器歩行だったのか?~SOAPにストーリーを、カルテをみるすべての人が共通できる情報を~

だんだん副題が長くなってきました。(笑)
そして当初の企画であった、できる限りシンプルに簡単にから逸脱している感もありますが。。。
短いけど、内容のあるものを適宜更新します。
今回は特に概念的です。わかりにくいとは思いますが、うまくキャッチしてくれたら幸いです。

今回はパーキンソン患者さんが転子部骨折をした際に
初期評価から今後の予後を含めてどのように推測し、訓練するものなのかを考えます。
Oで何の情報をとるのか(今後評価する項目は更新)は人によってまちまちですが、
Aを書く時、何がこの人の訓練の阻害要因になっているのかを正確につかむ事が重要です。

パーキンソン症状においてはPTではどうしようもありません。
on-off現象があるなら訓練時間を調整する事は考慮します。

運動時や荷重による痛みなら、病棟にお願いして坐薬などの投薬コントロールをお願いします。
同じ痛みでもOA(変形性関節症)などによる慢性的なものはしょうがないと思います。
我慢できる範囲でやってもらいます。
ポイントはope後の急性痛はできる限りコントロールしていきたいという事です。(※)

評価ではDisabilityができない理由はImpairmentレベルのここが原因だと考えます。
訓練ではImpairmentレベルでここが改善されてきてからDisabilityがこのように変わった。
だから今後の経過としてはどうなっていくだろうと予測をかく。
その記録に根拠にストーリー、つまりつながりがなければ伝わりません。

訓練がスムーズにすすむ人ならいい。そんなに考えなくても良くなる人ももちろんいます。
しかしスムーズにすすまない場合、
何が一番じゃましているのか。そして「それはPTがアプローチできるものなのか?の考えを記録に
反映させてください。

その意味で初期評価はやはりかなり重要です。
Aで答えがうまく捉えられない事もしばしばあります。
それは日々の訓練の中で適宜修正していきます。
Aでその捉えた変化を、自分の思考を端的に書いていきます。
Disabilityの原因となっている1番手、2番手、3番手をきめる。そう決めた根拠を記載する。
その中で対処できる事に着目し、PTが関われる事はどれか?それにこだわって訓練していく。

先輩達によく言われます。
「評価して気づけない、わかっていないならしょうがない。でもわかっているのにやらないのは問題だ。
改善する努力をせずにリハを実施している事になる。リハで悪くしている可能性だってあるよ。」と。

何となくよくなる場合もある。でも限りなく何でよくなったのか?を経過を追って評価していく事は
医療としてのリハビリの価値を高めていく事にもつながり、
まわりのスタッフに納得してもらえる材料になり、
自分自身が自分のリハビリに自信と実績を持てる結果につながると思います。


(※)急性時、投薬コントロールをしても痛みがでる場合(face scaleで2/5以上)であれば、
訓練をやめるわけではなく、痛みがでない訓練を考慮します。
なぜなら疼痛コントロールした上でまだ痛いというのはかなりの痛みです。
まず自分なら絶対にやりたくない。(笑)
最大の理由は痛みが慢性化してしまう事を避けたい、痛みがでる訓練を実施してリハびりのモチベーションを下げたくない、痛みが「記憶に残る」のを避けたいという理由があります。

2012年3月9日金曜日

THAはプロトコールで3週間。だったらリハにもプロトコールがあってもいい。でも大事なのはプロトコールじゃない。

少しずつ浸透してきていて、多くの方に時間をつくっていただき、みていただけているようです。
本当にうれしい。ありがとうございます。これからも自分の感じる臨床を文字にして伝えていきます。

今回はTHAのリハビリ訓練の進め方です。
当院では術前評価を行います。
その後、3週間をかけて杖歩行あるいは独歩を目標に訓練を行います。

人によりけりではありますが、
POD1 assist/activeにて股屈伸ROMexにて股関節のボディーイメージup
     立位訓練(荷重感覚の促通)
土日休みをはさんで。。。。。

POD4 平行棒3往復 
     activeでの股屈伸ROMex・assistでの股外転ex継続・
POD5 平行棒3往復×3 患者さんに荷重痛がなければ歩行器40m
POD6 平行棒5往復×2 歩行器歩行 120m×2 
     側臥位での股外転exを開始。(assist or active)
POD7 歩行器歩行 200m×2
POD8 歩行器歩行200m×2 平行棒片手で実施

とすすめていきます。
POD7で歩行器を200mすすめていくのは病棟フロアが当院は200mだからです。

土日病棟で歩行器歩行を実施してもらう。
次の週からは歩行器は実施せず、
POD11 平行棒片手歩行5往復×2 杖歩行40m
POD12 杖歩行40m×3
POD13 杖歩行120m×2
POD14 杖歩行200m×2
POD15 階段昇降1往復開始

次の土日で病棟で杖歩行を開始してもらう。(プロトコール通り)

POD18 杖歩行・階段昇降3往復・脱臼肢位の指導開始
POD19 痛みなければ平行棒でフリー歩行・応用杖歩行400m(階段昇降含む)・脱臼肢位の指導
POD20-21 本人から困っている点を改めてチェック。退院。

頭の中にはこのイメージがあります。
THAの人はその日の状態がいいからといって進めすぎないようにしています。
理由は痛みと腫れをださなければ勝手によくなるからです。
もし訓練の次の日に痛みの訴えがある場合はその日は無理にすすめず同じ種類と量で行っています。

ただどんなに同じ疾患であっても必ず話を聞いて、手で感じる反応、本人の言葉の反応を
ちゃんと聞くようにしてます。より聞けばきくほど、触れば触るほど、
患者さんは楽になります。セラピストも必要な訓練をしぼれます。お互いに気持ちよくできます。
まわりのスタッフが安心して仕事を任せてくれます。

自分の仕事に一定の「基準」を設ける事で、自分の仕事を客観的にとらえて余裕をもって、
患者さんに向かえるようになってきたなと実感しながらよりいいものを提供できたらといつも思ってます。

2012年3月5日月曜日

歩行練習~見守りをはずすのはどのタイミング?~

2週間ぶりです。
これからはどんな些細な内容でも少しずつ配信していきます。
治療編はまた次回にします。

訓練場面にて歩行訓練中に
「じゃあ自分で残り(訓練室を)3周しましょう!」と
声をかける事があると思います。

ではそのタイミングをいったいどこで決めているのか?

カットオフとして使用しているのは10m歩行スピードです。
基準に
10秒以内:屋外自立
20秒以内:屋内自立

があるので20秒をきった時、運動量をこなしたい時は自主練習として上記声をかけます。

20-30秒のラインが一番悩む所でして。。。。
そのスピードでしか歩けないほど、不安定さが残っているため、
ぼくはこの場合は運動量をこなしてほしい場合は平行棒にて自立歩行してもらっています。
そして歩行器or杖歩行は少量にしぼって必ず見守りをするようにしています。

本当はマンツーマンですべての訓練に見守り・介助につけば一番いいと思います。
しかし担当人数が20人を超えてくるような職場ではそれは厳しいと思います。
できる限りの安全配慮の中で、その人に必要な運動の質の向上のために、運動持久upのために
ある一定の基準を設けておくのは担当するPTとして必要かと思います。

もちろん認知症がある、安全配慮が乏しい、パーキンソンなどの基礎疾患が合併している場合は
基準の限りではないですが、自分の担当する人がみんなが満足してもらえるようなリハビリを
提供したいと望むのであれば、できる限り計画的に効率的にどうしたら「お互いに」取り組めるのかを
日々考えていく事が大事になるかなと思います。

追伸:今後は今まで書いた分も含めて、なぜその考えに至ったのか。
    参考にした文献もあわせて載せていきます。またみてやってください。