2012年6月27日水曜日

評価する時に心がけてほしい事~臨床実習の学生に伝えている事~

実習が来て3週間が過ぎようとしています。今回担当させていただいている学生さんは頑固なのですが、
納得する所まで説明すると自分の技術にしていこうと誠実に取り組んでくれるので
とても学習がスムーズにすすんでくれているのかなと感じています。

そんな学生が陥りやすいポイント。
それは「評価用紙を埋める」事に集中し、評価のための評価になってしまう点です。

確かに多くの情報を持っていたほうが後でレポートはかきやすいかも知れません。
相手を分析する点で必要な事なのかもしれません。

でもそれははたして「患者さんに満足してもらうリハビリ」をするために必要な事なのでしょうか?

たとえ、実習中であっても、患者さんにとってはこのリハビリが本番だという事を
心に留めておいてほしいと思ってます。


ではそのためにはどうしたらいいのか?
ぼくが技師長からよく言われていた事、それは


「困った事はなんですか?」

この一言につきると思います。

「歩けるようになりたい」ってPT的に喜ぶ答えを言ってくれる人もいれば


時には

「ご飯が食べられるようになりたい。」とか、

「特に困った事はない。」とか

「家に帰りたい。」などさまざまな答えが返ってくると思います。


どんな答えであっても、その答えから話を展開していく事が重要だと思います。


「そうですね。ご飯たべられるようにちゃんと坐れるかみせてください。」

「ならよかったです。では、困る事がないかどうかだけ確認させてください。」

「帰りたいですね。帰るおうちの状況を教えてください。」


このように相手の気持ちに沿ってすすめていく事を心がけています。

その後、相手の疾患から想定されるであろう身体機能障害を確認していきます。


評価用紙はあくまでも評価漏れがないかをチェックするために使用するためで、
評価用紙を埋める意識で評価するとなかなか問題点が見えず、

逆に評価した事で余計に問題点をしぼれなくなる場合もあります。

今その人の必要な動作獲得に対して、何が足りなくて、その原因は何なのかを
知る方法として評価がある事を意識して、
評価は選択していく事で、本当に相手を知る上で必要性が見えてくるし、
患者さんの表情をみながら余裕をもって、考えながら、会話を楽しみながら、
リハビリできる第一歩になると僕は確信しています。

最高のパフォーマンスは8割の真剣さと2割の余裕から生まれる。

「疾患」にのめり込まない、「患者さん」を包み込んだリハビリ、
生活環境に適応できる事までを考慮した包括的に捉えられる目線を持ってほしいと願っています。

脳梗塞後の軽度麻痺でフリー歩行は見守り。左右差が若干みられる時にどんなトレーニングをするか?~

題名が長くてすいません。今回は上記テーマで簡単に話します。

フリー歩行は見守りレベルだが歩容に左右差があり、
独歩獲得に向けてはその微妙な部分をどのように解消しているのか?

僕自身はどうしているのかを話してみます。

評価の基準として
10m歩行スピード 10-20.秒
片足立位保持 患側 5秒以下
TUG 20秒前後
フリー歩行 200m以上可

このレベルの患者さんで、あともう一息安定して動ければなと思う方が対象になるかと思います。

まず訓練は3つ。
1「片脚ブリッジex」を実施します。
この時、3-5秒程度、息をとめずにkeepする事を促します。

2その後、バランスマットを使用して「片足立位保持ex」を実施します。
この際も5秒keepを30セット実施します。

3そして最後に「ウォーキングマシンでの歩行ex」を実施します。
3-4km/hが目安で、本人が速度に「合わせなければいけない」といけないと思うレベルで
体力・脈拍にあわせて5-10分実施します。

見守りから自立に向けて必要なポイントは
1片足で保持できる事。
2外乱が加わっても保持できる事。
3自分のペースではなく機会のペース(つまり周りの環境)に合わせられる事

この3点の視点を持ってこの3つのトレーニングを導入する事が有効ではないかと思っています。
残念ながらまったく根拠がないので、
これを臨床研究のテーマにして即時効果がでるのか、上記「評価の基準」の改善度合いを
みるのも訓練効果を明らかにするのはテーマとしては面白いかなと思います。


患者さんが自立するために必要な事。
それは・・・・

本人が「環境」に適応する事だと思います。
PTとして本人の運動機能が環境に適応できるように最大限サポートできれば
すごくいいなといつも思っています。

2012年6月20日水曜日

筋力訓練と歩行訓練の意味を考える~臨床実習にて学生が学んでくれている事~

業務とトークで自分の時間をつくれず、またおさぼりがすぎる今日この頃です。本当に人に伝える意識を持っていれば、毎日でも書いていくはずですから。
「悩める友のために」がテーマなので、どんどん更新していきます。

筋力トレーニングに関して
ただ筋力upさせる事に意味はないと思います。
その筋力が実用的に士王できるようになる事が重要です。
動作の中で実用的に使えるようにしていく。ADL動作に還元していく。
必ず筋力トレーニングの先にどの動作ができるようになるかを意識してもらう。
逆にいえば、どのような動作を獲得したいから、その筋力トレーニングが必要と考えながら
リハビリを行う事が重要だと思います。
その際、MMTの評価では
2:麻痺している
3:OKCでは○、CKCでは×
4:質は○、持久力×
5:質も量もいい。個別筋力トレーニングは不要。

といった観点で記載すると臨床家には伝わると思います。

歩行訓練に関して
歩けるようになる事だけが歩行訓練の目的ではないです。

歩行=立位バランス+荷重訓練+精神機能賦活+循環動態改善

のすべてをトータルに行う事ができる訓練です。
全介助の人であっても意識障害があれば、荷重・立位刺激が入る事で覚醒状態が上がったり、
実用性がなくても異常動作の介助量軽減目的で行う事もある。

歩行は歩容をよくするため、体力をつけるため、だけではない広い治療視野を持って考えていく事が重要だと考えます。


実習は教科書で学んできた事を実用的に発揮できるかが試されています。
だけど、教科書ではイメージできない事、あるいは大きくイメージと違う感覚があります。

決して教科書のマニュアルにとらわれる事なく、
患者さんの「困った事」を「助ける」事に焦点をあてて、
患者満足度を追求する学びをしてほしいと願っています。

勉強してきたマニュアルや評価方法という道具を「適切に」使えるようになっていきたいですね。


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2012年6月14日木曜日

MVR,AVRは頻脈に注意

今週から実習生を8週間担当する事になりました。
「理学療法士入門」と銘打っているので、学生に話している内容を随時upします。

前回心筋梗塞での訓練上の注意点は血圧変動をみる事でした。
これは心筋が適切に働いていないと血圧keepする事ができないからです。

また心臓外科opeでよくみるのが、AS/AR,MSの弁機能の不全の場合です。
AVR,MVRの場合は弁に過負荷をかけないために120bpm以下で
コントロールしながら訓練を行います。

ただ多くは一か所にとどまらず、両方とも機能不全があり、
MVR+CABGopeを行う場合も多くみられるので、その際は血圧も脈拍も
指示を受けた範囲内でリハを行い、
適宜、自覚症状(Borg Scale )でも確認します。
自覚症状も呼吸苦と下肢疲労感を別々に2つ聴取しています。

普段よく見る略語があるので、同時に記載しておきます。
これだけ抑えていればほぼ困る事はないと思います。


知らないって事はそれだけでデメリットです。
少しでも覚えて略語アレルギーを克服したいですね。
(ぼくはいまだにちょっとかゆい笑)

カテーテル治療に関する略語

AVR Aortic Valve Replacement 大動脈弁置換術
CABG Coronary Artery Bypass Graft 冠状動脈大動脈 バイパスグラフト
MVR Mitral Valve Replacement 僧帽弁置換術

データに関する略語

LVEF  Left Ventricular Ejection Fraction 駆出率

疾患に関する略語

VT  Ventricular Tachycardia 心室性頻拍症

VF  Ventricular Flatter 心室粗動

Vf  Ventricular fibrillation 心室細動

TR  Tricuspid Regurgitation 三尖弁閉鎖不完全症

TS  Tricuspid Stenosis 三尖弁狭窄症

SSS  SIck Sinus Syndrome 洞機能不全症候群

PVC  Premature Ventricular Contraction 心室性期外収縮

PAC  Premature Atrial Contration 心房性期外収縮

MR  Mitral Regurgitation 僧帽弁閉鎖不全症

MS  Mitral Stenosis 僧帽弁狭窄症

IE  Infective Endocarditis 感染性心内膜炎

CHF  Congesitive heart failure うっ血性心不全

AS  Aortic Stenosis 大動脈弁狭窄症

AR  Aortic Regurgitation 大動脈弁閉鎖不全症

AAA  Abdomlnal Aortic Aneurysm 腹部大動脈瘤


心臓カテーテルのポケット知識