2012年11月18日日曜日

DVTの予防法と介入時期‏について~日本離床研究会の紹介~

今日は日本離床研究会のQ&Aでの解答をのせます。
勝手にのせて怒られないでしょうか?
問題が会った時はすぐに消します(笑)
講習会にでると定期的にメール配信がきます。
勉強になるので、シェアしたいと思います。

Q
Dダイマーが高値でDVTが疑われる場合、
間欠的空気圧迫法や徒手的なマッサージは
行ってよいのでしょうか?

A.
DVTの発生要因としてVirchowの3因子が挙げられます。
1.血流の停滞
2.血液凝固能の亢進
3.静脈内皮障害
DVTは、これらの3徴を予防することが必須となります。

DVTの予防法には
「積極的な下肢の運動」「間歇的空気圧迫法」「下腿マッサージ」
などが挙げられますが、
これらの目的は静脈流速を上げて、
DVTの発生要因の1つである血流の停滞を防ぐことです。

質問のようにDダイマーが高値でDVTが疑われる場合、
これらの手段で静脈流速を上げることで遊離血栓が血管壁から剥がれ、
肺血栓塞栓症を引き起こすことが予想されます。

肺血栓塞栓症の原因のその多くはDVT由来のもので、
発症すると死に至る重篤な合併症です。

DVTが疑われた際は、
静脈エコーやCT造影などの検査で確定診断がつくまで
これらの予防法は行わない方が良いと考えます。

時期を見計らって適切なアプローチを目指してくださいね!

という内容です。

実際臨床でぼくがみているのは
1.Dダイマー>20μg/mlである事
2.足背屈exにてガストロ痛がある事
3.明らかな左右差の腫れが見受けられる事です。

このような状態になると血流が滞り、下腿で血栓ができやすくなり、
それが肺塞栓や脳塞栓を起こす危険が高いからです。

急性期ではTKAやASOの患者さんでみられる事が多いので
リハ開始1週間あたりまでは気をつけています。

2012年11月16日金曜日

声かけひとつでまったく動きが変わると思ってます。

リハビリをしていて何度も聞き返されたり、理解してもらえない事でありませんか?

ぼくは臨床2-3年目ぐらいまで
何度も確認されたり、聞き返される事が多かったです。

なんで伝わらないんだろうか?
ずっと悩んでました。

ある時に気づいたんです。
自分の感覚のみで話してはいけないという事でした。
あくまでも自分の説明の仕方が悪いという事であり、
指示の仕方をもっと分かりやすく端的にいれるようにしていく事が大事だったんです。

つまり相手がどうやったら理解できるのか?に終始した言葉づかいをします。

たとえば、カーフレイズで例えるなら・・・・

理屈的には、
かかとをあげてください。
つま先立ちをしてください。

です。

感覚的には
背伸びをしてください。

です。

視覚的には
(カーフレイズをみせて)ぼくの真似をしてください。

触覚的には
(ふくらはぎをさわって)ここを使ってください。

です。

全部同じ意味です。
でも人によってどれが一番わかりやすいのかは違います。

なので自分の方法にこだわるのをやめて、

相手に伝わる内容ならそれが一番と思うようになりました。
(ごく一例ですが。。今さらって思った方がいたらすいません。)


そしてもう一つ意識している事があります。
あくまでもこちらで評価して治療選択した運動を実施してもらっているので
どこがよくできているのかを必ずフィードバックしていく事を忘れないようにしています。

具体的には
3つほめて、1つ修正してほしい所を伝えます。

できれば具体的にほめます。

今日は杖ができましたね、
歩き方がバランスよかったね、(TUG~秒ですよ。)
いいスピードでした。(10m歩行スピード~秒ですよ。)

前回よりも(~秒くらい)よくなってますよ。

なので、
もう少し踵から歩行できるとなおいいですね。



そんな具合です。


ただそんなにないよって事もしばしばあります笑

そんな時は

いいですね。いいですね。いいですね。

もう少し大股だとさらにいいですね。

極端にいうとこれでもいいと思います。
やってもらった訓練によって

あなたの動きが変わっていますと気づいてもらえるように
アプローチする事は大切だと思ってます。

2012年11月8日木曜日

動作の制限因子×訓練方法のチョイス×予後の判断

歩行訓練や動作観察している時に筋出力低下している事が
動作の阻害要因であると考えた場合、
1痛みによるものなのか、
2恐怖心によるものなのか、
3本当に筋力低下によるものなのか

を評価して行ってください。

痛みによる原因ならリラクセーションや投薬、痛みがでないOKCやactive-exの運動に変える事
恐怖心による原因ならで手すりを把持する、杖を使うなど能力を発揮しやすい環境をつくっていく、
筋力低下による原因ならベッド上での個別徒手訓練や重錘筋トレをする

等が必要だと考えます。

訓練のチョイスの仕方について。
体力ある人、ない人さまざまです。

もちろん体力あれば個別筋トレ、抗重力運動をやってから歩行訓練へと
積み上げていくトレーニングを行います。

しかし易疲労性が強い場合は訓練でのこまめな休憩をいれる事が前提ですが、
ポイントはできるようになってほしい訓練を先にやってしまう事、
つまり一番目的としている動作訓練だけでもいいからやってしまいましょう。

体力あれば個別に弱い所を集中的に鍛えて、その後に目標とする動作訓練をする。
しかし体力なければなにができるのかに着目してトレーニング。
そんな感触でしょうか。

最終目標やその本人の予後についての判断について

これはやはり経験による所が大きいと思います。
ぼくは急性期のスタッフ経験があるので
急性期で3週後にどのような変化があるのかはわかります。

しかし2年後どのようになっているのかはわかりません。
それは僕が経験していないからです。

ただ急性期発症後のからの1ー2カ月間のリハビリした少しの経験で話しますと、
回復が見込まれる人は

意識がはっきりしている事、
訓練開始の1238日の評価で明らかに改善していく事が重要だと思います。

なので初回の状態よりも回復期が妥当だと思う人は
訓練での、のびしろがあるかないかが重要だと考えます。

学生の時としては「リハビリをやる」=「必ず機能が改善する」という意識が強すぎる場合があります。機能改善が厳しいとわかった時に、その現状の能力でいかに環境に適応する事ができるのかを考える事も必要だと思ってます。

それは決してあきらめているわけではありません。
歩行訓練ばかりしていて、寝返り~トランスファーが全介助ではあまりに実用性に欠けるという事です。

つまり生活復帰においては実用性も求めなければ、本人も家族も困ってしまうと思うのです。
転帰先とその期日を意識して、能力upを求めるべきか、社会適応を求めるタイミングなのかの
バランスを持って取り組みたいと思ってます。

2012年11月1日木曜日

治療は評価、評価は治療、決して別物ではない~

よく感じる事ですが、は学生さんはとりあえず評価用紙を埋めるために
評価を個別に細かく行って、その内容をダイナミックな起居動作や歩行とつなげて考えられず、
評価のための評価をしているなとおもう事があります。

それはぼくも自分自身が学生や新人の頃、
自信がなくて必要以上に評価してしまった経験があるからです。

本来評価とはどこに機能障害の影響がでているのかを考えるものであるべきなのに、
評価のための評価を1つ1つを個別に考えてしまい、動作と関連づけられていないんです。

極端な言い方をします。
評価で「できない」事や「機能障害」があってもいいじゃないですか。
大切なのは患者さんのニーズに対して
「どうやってできるようになるのか」に応えていく事だと思います。


たとえば、麻痺側にクローヌスがでていたとします。
しかしそれが立ち上がりや歩行訓練中に動作の障害にならなければ、
あまり考慮する必要はないと思います。

しかしその症状が立位バランスを崩したり、歩行Swing時に
つまづき動作がでるような歩行障害を呈したら、装具を着用するなどの考慮は必要です。

評価はあくまでも機能障害がでてくるであろう症状を考慮し、リスク管理をして
ダイナミックな歩行訓練などでチェックします。
この時点でこの歩行は評価であり、またすでに治療になっています。

初期評価時にはベッド上でありとあらゆる評価をしてしまいたくなる。
しかし治療自体が評価であり、問題点の抽出であり、
評価項目はあくまでもその手段なだけだと思ってます。


少し難しいいいまわしでわかりにくいかと思いますが、
要は治療と評価は別物ではない、という事です。

たとえば麻痺の影響が強いのか、失調なのか、微妙に迷う時があります。
そんな時に考える事は

麻痺だったら、回数こなすと出力が減弱していくな。
失調だったら、最初からコントロールできないだろうな。

患者さんのコメントも違ってきます。

麻痺なら「手足が重い」って話すし、
失調なら「思うように動かない」

って話す事があります。あくまでも一例ですが。

検査レベルでは症状なくても
立位や歩行になってはじめて症状が顔を出す場面もあるので
評価と治療を分けて考えずに疾患からイメージをもって、
動作での障害を見逃さないようにその時の反応をとらえていきたいなと思ってます。

2012年10月29日月曜日

認知症×介助の仕方×訓練目標の立て方~ICFの見方を意識して~


ひさしぶりの投稿です。
今回は学生に対してアドバイスしていた、かきためた内容から随時upしていきます。
 
少し内容を発信用に変えたのでわかりにくかったらすいません。
 
認知症を合併症に持つ患者さんいついては
運動機能として「どれくらい動けるのか?」を考えるだけでは足りない。
家族の受け入れも含めて転帰先の環境に本人が適応できるのか?
もちろん家族も患者さんを受け入れているのかがとても重要です。
自宅に退院する際は必ず家族に現状をみにきてもらいましょう。
家族も「百聞は一見にしかず」だと思います。
 
実際の家族のニーズとどれくらいズレがあるのか、MSWと在宅調整Nsを巻き込んで確認してもらいましょう。そして家族のニーズに対して、どれくらいの運動機能や高次脳が要求されるのかを聞きながら必ずICFを意識してとらえてください。
 
発想の着眼点としては
求められている「活動」を達成するための阻害要因は
「心身機能・身体構造」のどこにあるのか、そして「活動」を達成した先に
どんな「参加」が期待できるのか
 
という見方をしています。
 
「活動」の達成したい目標が決めたら
患者さんの痛みやBorg scaleでややきつい(12-13レベル)で訓練を提供します。
認知症を伴う場合は顔色と血圧などのバイタルをチェックしていき、
どれくらい休憩すれば回復するのかを休憩時間も含め、配分を意識しながら実施します。
 
介助の仕方については
セッティング+声かけ+徒手assistを組み合わせて
患者さん自身で「やれる」状況、「やりやすい」状況をつくります。
どうやったらできるようになるのかに焦点をあてて考えます。
 
なのでブリッジ1つとっても下肢の位置は適切か、
立ち上がり1つでももう少し体幹を前傾させたほうが
臀部を持ち上げやすかったのではないかと
自分自身で毎回意識して介助してほしいと伝えています。
 
 
 

2012年7月24日火曜日

入門編?仕事での経験を積んだ事はちゃんと積み上げていけば、本当の財産になる

あるサイトで理学療法士なのか、
ネットショッピングサイトを開設している人がいました。
とても興味深いです。

自分の臨床の経験や獲得した技術、作り上げた研究は
「形」にデザインする事で結果がでます。

だから働いている内に自分一人の力で稼がなきゃいけない時代に
直面する前に、今!自分がやってる事を真剣に取り組み、
文字に残す、疑問に思った事を研究発表する事は自分の将来につながります。

相手がどうしたら満足するのか、それだけを考えて働こう。
親身に相談に乗ってくれる先輩からしっかり学ぼう。

その喜んでくれた事を「形」にしていきたいですね!

スポーツリハビリテーションシステム(SRS)の紹介
http://srsc.jp/

「高齢者の健康増進・介護予防のための運動療法を分かりやすく解説したDVDです。52分」
  • イントロダクション
    *健康寿命の考え方/高齢者が抱える身体面の問題/年齢による10m歩行時間の変化/体力の要素/DVDを見て頂きたい方/DVDのながれ
  • 健康度の評価と運動のポイント
    *体力の要素/10m歩行/タイムドアップ&ゴーテスト/6分間歩行/椅子からの立ち上がり/背臥位からの起き上がり/腹臥位からの上体そらし/腹筋の筋力が低下している場合/片脚立位バランス/継ぎ足歩行/後ろ向きで継ぎ足歩行/ファンクショナルリーチ
  • セラピス卜が行う筋力増強運動
    *足首をそらせる運動/膝を伸ばしたまま下肢を挙上/股関節の内転・外転/膝関節の伸展/股関節の伸展(ブリッジ動作)/両脚を支えてお尻を浮かせる方法/腹筋運動/腹臥位で膝関節の屈曲(ハムストリング、大殿筋)/背筋運動(腕立て、両肩の補助、独力で伏臥上体そらし)/座位で股関節の屈曲/座位で膝関節の伸展
  • 高齢者が自分で行えるエクササイズ
    *足首を上下にゆっくり動かす(足関節の背屈・底屈)/下肢後面の筋をストレッチ/ブリッジ動作/腹筋運動(頭と上半身の一部を持ち上げる、膝を曲げて上半身を後ろに倒す)/膝を立てて身体を捻る運動/腹臥位で背中をそらす/アキレス鍵のストレッチ/足趾のエクササイズ(タオルギャザー、ジャンケン)/カーフレイズ(踵上げ運動)/立位バランス/ゴムチューブ、を使って膝を伸ばす/ゴムチューブを使って股関節の外転筋を鍛える/ポールをつぶして股関節の内転筋を鍛える
  • 虚弱な高鈴者の運動療法(機器を用いて行う運動)
    *レッグエクステンション/レッグカール/レッグプレス/股関節の内転・外転/固定自転車によるペダル駆動エクササイズ/ス卜レングスエルゴ/ステップマシン/卜レッドミルでの免荷装置
  • 新しい運動療法装置の開発
    *らっくんウォークR・5/転倒予防靴下/外反母趾対策靴下/足関節背屈補助靴下/高齢者の運動指導での注意点

評価と治療の着眼点とは~実習生に伝えている事part4

実習生は、機能評価をしていると悪いところがあると全部治したいという気持ちが強くなってしまい、治療の優先順位がわからなくなる時があるようです。
ぼくも新人の時、同じように思ったのですごく共感できました。
ではその感覚を持っていたぼくが今はどのように考えているのか?

ポイントは3つ。
1今回の入院で悪くなった所を重点に評価し、訓練プログラムを組む事、
2今までの既往歴はリスク管理としてとらえる事。
3できない事よりもできる能力upと動作獲得に目を向ける事

です。
1今回の症状で悪くなってます。必ずリハビリで改善します。
 100%改善するのは困難ですが、99.9/%に向けて実施します。
2これは基本的にはよくなりません。
 しかしチェックする必要あります。
 CVAあれば、運動機能、バイタルのチェック、危険行動の有無
 PDであれば訓練時間の考慮
 ガンopeなら低体力になっている事、
 骨折歴多ければ、転倒に注意
などなど、その疾患は訓練中に考慮します。
3うまく言えませんが、急性増悪の時など
 ネガティブにとらえる人もいます。これができるよ。よくなっているね。
 必ずほめます。すぐほめます。具体的にほめます。そのあと、もう少しこうできたらさらにいいねと
 修正します。

 
 
すごく当たり前の事かもしれませんが、重要な視点だと思います。
そしてその人にとって今何が一番必要なのかを考えて、
その問題点に対して優先付けをして、限られた訓練時間の中で治療する事。

能力評価、その予後、ゴール設定を考慮して治療のプログラムを考えてほしい。

能力評価は初回で判断。
予後の評価は訓練1日目、3日目、7日目の伸びしろで判断。
ゴール設定には能力に到達するまでにどれくらいの日数がかかるのかを判断します。

具体的にいえば、
自宅退院であれば、自宅の環境を聞きこんで、なんとかできる移動能力にこぎつける事
回復期転院であれば、機能up訓練を重点的に訓練し、基本動作の習熟に努める事です。

内容がややあいまいですが、
言いたい事は着眼点を持って、相手のゴールに向かって、
社会適応に向かって、長期的な視点を持って、
そのためにリハビリでアプローチをする手順はどうしていくのが適切なのかを
常に検討していく事が重要だと思います。

2012年7月21日土曜日

立ち上がりと歩行の介助量の決め方~実習生に伝えている事シリーズpart3?

Q:患者さんがどのくらいの下肢の支持性がよくわからないため、どのくらい介助すればいいのか、
判断できないと言われます。

A:これはあくまでも評価して決めてください。

ぼくの場合は、ip/quad/TAのMMTを車いす座位ではかり、
おおまかな予想をたてて、トランスファー中の介助量と動きの質で判断します。
立位をとれる余裕があるなら立ってもらって、そのまま立位バランスをみる事もします。

たとえば、全介助であった場合。この場合は僕自身の間合いでやりやすいように行います。
ただ理解がはっきりしていて、協力動作が得られるときは、「せーの!」と必ず声かけはします。

軽介助~中介助であった場合は、端座位にて真横に座り、
座面を高くする+手すり把持してもらうまわりの環境セッティングを整えて
声かけ+動き方のアシストをしていきます。

Q:そのアシストするタイミングをあわせるのが難しい。

A:あくまでも自分自身が患者さんの動きをアシストする気持ちで立ち上がりの一連の動作に
スムーズさをださせるように行います。同じようにタイミングよく「声かけ」する事が重要です。
現状の持っている機能で回数をこなして、能力として適切に発揮できるようにしたいからです。

この方法をうまくやれるかどうかは、やっぱりここは「経験した人数」だと思います。
ただ、このイメージを意識して一緒に訓練する事と何となくやるのでは大きく差がでると思います。

Q:全介助で歩行する場面で自分が思ってるより介助量が多く、
やめた方がいいのか、続けるべきなのか判断できない?

A:必ず立位時に判断してください。
 歩行するかどうかは立位時の介助量+足踏みさせて、
 無理だと判断したら一人で行うのはやめてください。
 自分が余裕なく訓練する事は転倒の危険性がありますし、
 何より自分が余裕がない条件での歩行は、患者さんにとっても余裕がないですし、
 とても実用的な動きにはつながらない。
 何より「ただ歩かせる」のはPTとして評価しきれていない証拠になってしまいます。
 さらに言えば、職場の同僚たちがものすごく心配します。

患者さんと自分が一緒にやってて、訓練しやすい環境を整える事。
これもPT技術の大切な条件だと思います。
 

2012年6月27日水曜日

評価する時に心がけてほしい事~臨床実習の学生に伝えている事~

実習が来て3週間が過ぎようとしています。今回担当させていただいている学生さんは頑固なのですが、
納得する所まで説明すると自分の技術にしていこうと誠実に取り組んでくれるので
とても学習がスムーズにすすんでくれているのかなと感じています。

そんな学生が陥りやすいポイント。
それは「評価用紙を埋める」事に集中し、評価のための評価になってしまう点です。

確かに多くの情報を持っていたほうが後でレポートはかきやすいかも知れません。
相手を分析する点で必要な事なのかもしれません。

でもそれははたして「患者さんに満足してもらうリハビリ」をするために必要な事なのでしょうか?

たとえ、実習中であっても、患者さんにとってはこのリハビリが本番だという事を
心に留めておいてほしいと思ってます。


ではそのためにはどうしたらいいのか?
ぼくが技師長からよく言われていた事、それは


「困った事はなんですか?」

この一言につきると思います。

「歩けるようになりたい」ってPT的に喜ぶ答えを言ってくれる人もいれば


時には

「ご飯が食べられるようになりたい。」とか、

「特に困った事はない。」とか

「家に帰りたい。」などさまざまな答えが返ってくると思います。


どんな答えであっても、その答えから話を展開していく事が重要だと思います。


「そうですね。ご飯たべられるようにちゃんと坐れるかみせてください。」

「ならよかったです。では、困る事がないかどうかだけ確認させてください。」

「帰りたいですね。帰るおうちの状況を教えてください。」


このように相手の気持ちに沿ってすすめていく事を心がけています。

その後、相手の疾患から想定されるであろう身体機能障害を確認していきます。


評価用紙はあくまでも評価漏れがないかをチェックするために使用するためで、
評価用紙を埋める意識で評価するとなかなか問題点が見えず、

逆に評価した事で余計に問題点をしぼれなくなる場合もあります。

今その人の必要な動作獲得に対して、何が足りなくて、その原因は何なのかを
知る方法として評価がある事を意識して、
評価は選択していく事で、本当に相手を知る上で必要性が見えてくるし、
患者さんの表情をみながら余裕をもって、考えながら、会話を楽しみながら、
リハビリできる第一歩になると僕は確信しています。

最高のパフォーマンスは8割の真剣さと2割の余裕から生まれる。

「疾患」にのめり込まない、「患者さん」を包み込んだリハビリ、
生活環境に適応できる事までを考慮した包括的に捉えられる目線を持ってほしいと願っています。

脳梗塞後の軽度麻痺でフリー歩行は見守り。左右差が若干みられる時にどんなトレーニングをするか?~

題名が長くてすいません。今回は上記テーマで簡単に話します。

フリー歩行は見守りレベルだが歩容に左右差があり、
独歩獲得に向けてはその微妙な部分をどのように解消しているのか?

僕自身はどうしているのかを話してみます。

評価の基準として
10m歩行スピード 10-20.秒
片足立位保持 患側 5秒以下
TUG 20秒前後
フリー歩行 200m以上可

このレベルの患者さんで、あともう一息安定して動ければなと思う方が対象になるかと思います。

まず訓練は3つ。
1「片脚ブリッジex」を実施します。
この時、3-5秒程度、息をとめずにkeepする事を促します。

2その後、バランスマットを使用して「片足立位保持ex」を実施します。
この際も5秒keepを30セット実施します。

3そして最後に「ウォーキングマシンでの歩行ex」を実施します。
3-4km/hが目安で、本人が速度に「合わせなければいけない」といけないと思うレベルで
体力・脈拍にあわせて5-10分実施します。

見守りから自立に向けて必要なポイントは
1片足で保持できる事。
2外乱が加わっても保持できる事。
3自分のペースではなく機会のペース(つまり周りの環境)に合わせられる事

この3点の視点を持ってこの3つのトレーニングを導入する事が有効ではないかと思っています。
残念ながらまったく根拠がないので、
これを臨床研究のテーマにして即時効果がでるのか、上記「評価の基準」の改善度合いを
みるのも訓練効果を明らかにするのはテーマとしては面白いかなと思います。


患者さんが自立するために必要な事。
それは・・・・

本人が「環境」に適応する事だと思います。
PTとして本人の運動機能が環境に適応できるように最大限サポートできれば
すごくいいなといつも思っています。

2012年6月20日水曜日

筋力訓練と歩行訓練の意味を考える~臨床実習にて学生が学んでくれている事~

業務とトークで自分の時間をつくれず、またおさぼりがすぎる今日この頃です。本当に人に伝える意識を持っていれば、毎日でも書いていくはずですから。
「悩める友のために」がテーマなので、どんどん更新していきます。

筋力トレーニングに関して
ただ筋力upさせる事に意味はないと思います。
その筋力が実用的に士王できるようになる事が重要です。
動作の中で実用的に使えるようにしていく。ADL動作に還元していく。
必ず筋力トレーニングの先にどの動作ができるようになるかを意識してもらう。
逆にいえば、どのような動作を獲得したいから、その筋力トレーニングが必要と考えながら
リハビリを行う事が重要だと思います。
その際、MMTの評価では
2:麻痺している
3:OKCでは○、CKCでは×
4:質は○、持久力×
5:質も量もいい。個別筋力トレーニングは不要。

といった観点で記載すると臨床家には伝わると思います。

歩行訓練に関して
歩けるようになる事だけが歩行訓練の目的ではないです。

歩行=立位バランス+荷重訓練+精神機能賦活+循環動態改善

のすべてをトータルに行う事ができる訓練です。
全介助の人であっても意識障害があれば、荷重・立位刺激が入る事で覚醒状態が上がったり、
実用性がなくても異常動作の介助量軽減目的で行う事もある。

歩行は歩容をよくするため、体力をつけるため、だけではない広い治療視野を持って考えていく事が重要だと考えます。


実習は教科書で学んできた事を実用的に発揮できるかが試されています。
だけど、教科書ではイメージできない事、あるいは大きくイメージと違う感覚があります。

決して教科書のマニュアルにとらわれる事なく、
患者さんの「困った事」を「助ける」事に焦点をあてて、
患者満足度を追求する学びをしてほしいと願っています。

勉強してきたマニュアルや評価方法という道具を「適切に」使えるようになっていきたいですね。


【音速パソコン教室】
http://onpaso.org/a8m/

2012年6月14日木曜日

MVR,AVRは頻脈に注意

今週から実習生を8週間担当する事になりました。
「理学療法士入門」と銘打っているので、学生に話している内容を随時upします。

前回心筋梗塞での訓練上の注意点は血圧変動をみる事でした。
これは心筋が適切に働いていないと血圧keepする事ができないからです。

また心臓外科opeでよくみるのが、AS/AR,MSの弁機能の不全の場合です。
AVR,MVRの場合は弁に過負荷をかけないために120bpm以下で
コントロールしながら訓練を行います。

ただ多くは一か所にとどまらず、両方とも機能不全があり、
MVR+CABGopeを行う場合も多くみられるので、その際は血圧も脈拍も
指示を受けた範囲内でリハを行い、
適宜、自覚症状(Borg Scale )でも確認します。
自覚症状も呼吸苦と下肢疲労感を別々に2つ聴取しています。

普段よく見る略語があるので、同時に記載しておきます。
これだけ抑えていればほぼ困る事はないと思います。


知らないって事はそれだけでデメリットです。
少しでも覚えて略語アレルギーを克服したいですね。
(ぼくはいまだにちょっとかゆい笑)

カテーテル治療に関する略語

AVR Aortic Valve Replacement 大動脈弁置換術
CABG Coronary Artery Bypass Graft 冠状動脈大動脈 バイパスグラフト
MVR Mitral Valve Replacement 僧帽弁置換術

データに関する略語

LVEF  Left Ventricular Ejection Fraction 駆出率

疾患に関する略語

VT  Ventricular Tachycardia 心室性頻拍症

VF  Ventricular Flatter 心室粗動

Vf  Ventricular fibrillation 心室細動

TR  Tricuspid Regurgitation 三尖弁閉鎖不完全症

TS  Tricuspid Stenosis 三尖弁狭窄症

SSS  SIck Sinus Syndrome 洞機能不全症候群

PVC  Premature Ventricular Contraction 心室性期外収縮

PAC  Premature Atrial Contration 心房性期外収縮

MR  Mitral Regurgitation 僧帽弁閉鎖不全症

MS  Mitral Stenosis 僧帽弁狭窄症

IE  Infective Endocarditis 感染性心内膜炎

CHF  Congesitive heart failure うっ血性心不全

AS  Aortic Stenosis 大動脈弁狭窄症

AR  Aortic Regurgitation 大動脈弁閉鎖不全症

AAA  Abdomlnal Aortic Aneurysm 腹部大動脈瘤


心臓カテーテルのポケット知識

2012年5月27日日曜日

LADでAMI.PCI施行。~もうすでに日本語じゃない。。。~

ごぶさたしてます。最近は外出する機会が多く、なかなかPC前に向かえていません。

  最近ノマドワーカーって言葉を覚えました。面白い仕事のスタイルだな、その人の実力次第だな。 きっとこれからは会社に所属せず、個人がリーダーシップを発揮して、それについてくる仲間と一緒に 仕事をするって時代に移り変わっていくんだろうなと思う事があります。

今回はタイトルの通り?心リハについてです。
循環器あるいは心臓外科の患者さんを担当すると、 先生の記録に「LADでAMI.PCI施行。」と書いてた事がありました。


?????。。。え?え?



これがはじめた担当をもった時の感想でした。
そうなんです。略語がかなり多いんです。 いまだにわからない時があり、ちょくちょく調べています。

まずはLADについて。これは心臓の解剖的名称の事です。 虚血性心疾患は、心臓に栄養を送る冠状動脈が 何らかの原因で狭窄、閉塞をきたし、心筋に障害が生じます。
LADとはその4つある冠状動脈の1つで左前下行枝の事です。

整理すると
①RCA(右冠動脈)→不整脈の可能性
②LMT(左主幹部)→死亡の可能性
③LAD(左前下行枝)→LOS 症候群
④LC(左回旋枝)→痛みの可能性 の事です。

次にAMIについて。これは病気の名称の事です。
AMIとは急性心筋梗塞(acute Myocardial Infarction)の事。
OMIは慢性心筋梗塞(old Myocardial Infarction)の事です。

時折、MIとかいてる記録もありますが、AMIと同じ意味です。
ちなみに狭心症をAPと略する事もあるようです。(Angina Pectoris)
(ぼくはあまりみないですが。。。)
さらに脱線するならば、
狭心症は心筋は生きている状態で血行再建による治療効果大。
心筋梗塞は心筋がまだら状に生存、まだら状に壊死している状態で、治療効果は残存viability次第のようです。 (心臓外科の先生から確認済)

次にPCIについて。
これは血行再建の治療方法の内容の事です。 CABGと並んで選択される治療法で、
PCIの長所は迅速で低侵襲である事、短所は再発が多い。
少し脱線すると、PTCAやPOBAと書くDrもいますが、これらの治療方法を総称してPCIといいます。

CABGの長所は長期予後良好だが、短所は侵襲大で術後管理が慎重です。
少し脱線すると、おもな適応はLMTあるいは3枝病変の場合のようです。

治療方法が動画であるのでチェックしてみてください。

PCI治療:http://www.nagasaki-hc.com/heart/pci.html

他にもよく見る略語があります。
「これだけ抑えておくと記録がよみやすい!」的な略語と内容を随時upしていきます。


2012年5月15日火曜日

理学療法士とは~あなたの生活のこんな場面で登場します~

少しばかり長いGW期間を越えてまた始めたいと思います。

ぼくらの職業はよく仕事は何してるんですか?と聞かれて、

「理学療法士です!」と答えると、 ????? が
相手の頭のまわりにいっぱい浮かぶ事が多いです。
「リハビリの仕事です!」と答えると、「ああ!わかった!」と言われる程度で、
最近はあまりないですが、「マッサージとかするんでしょ?」とか「介護は大変だよねー」とか
時折言われます。 なので、専門用語抜きでできる限り、まったく知らない人視点で
表現したいと思います。

理学療法士は

みなさんが万が一、けがや病気になってしまい、動けない、意識がなくなった時があったとします。 それが小さな町のお医者さんでは治せない、大きな病院に行きましょうと言われて、
救急車で大きな病院にいきます。
そこで検査を受けて、身体をみてもらい、病気や怪我がわかったとします。
その際に、お医者さんから治療しましょうと言われ入院する事があります。
薬で治療したり手術したり、あなたにとって必要でかついい治療が行われます。
その治療が終了しました。

さて、あなたの身体は治療によって怪我した所、病気をした部分は治りましたが、
怪我した身体でいきなり一人で動く事がすごく難しい状態です。


そこではじまるのが「リハビリ」です。


怪我・病気をした状態でもあなたが自力で動けるようになるために助けてくれる人がいます。
そこで登場するのが。。。。。

「理学療法士」という国家資格を持った専門のスタッフです。


お医者さんからの指示のもとで、あなたのその時の身体の状態をチェックして、
その結果に基づいて、 自分で起きられるように、座れるように、安全に歩けるようにと
身体の動きがよくなってもらえるように一緒になって
筋力をつけたり身体をほぐしたりしていきます。

怪我や病気によってリハビリをする期間はさまざまですが、
怪我・病気になってしまったあなたの身体を最大限に発揮できるまでサポートしてくれる人です。


どうですか?とってもいい人だと思いませんか?(笑)


ほかにもリハビリには服を着替えたり、靴下をはいたりする生活動作ができるように、
さらには脳の動きを元気にする「作業療法士」という国家資格を持った専門のスタッフや

うまく話せるように、食事が食べられるようにする「言語聴覚士」というこれまた国家資格を持った専門のスタッフがいます。


最近では、病院以外でも老人保健施設や自宅に訪問したり、
住宅改修に携わったりする事もあれば、
生活習慣病の予防やフィットネスの障害予防の分野などさまざまな場所で
理学療法士は活躍しています。


全てはあなたの身体が健康であり、あなたの生活がなんとか自立できるように
、あなたの「生活の健康寿命」が長くある事を心から願ってます。

どうでしょうか?伝わりましたか?


専門職になるとどうしても専門用語を使いたくなりますよね。
これでも使っているかもしれません。

ただ「できる限り相手と同じ視点で、かつ相手の立場に立って表現していく事は、
理学療法士という仕事を一般の人に理解してもらうためには大切な事ではないでしょうか?

2012年4月22日日曜日

足部骨折~外来フォローで全荷重歩行を実施してリハを終了する時までに追っていく経過

足部の三果(内果、外果、後果)骨折や
脛骨遠位端骨折等で外来リハビリを実施する事があります。

その際に心がけている事は、「痛みを引き起こさない事、痛みにつなげない事」です。

まず最初に状態を聞きます。本人の自覚症状としていいのか、悪いのかを判断します。
その後、足部の腫れと熱感の左右差をみます。
前回との違いを確認するために内外果、あるいはMP jointを確認します。
(廃用による筋委縮の影響を受けない部位のため)
計測して「前回とくらべて~cm改善あります。あるいは~cm腫れてます。」と具体的に伝えます。


いい場合は「順調ですね!」と伝えます。
また「歩くと熱感増えますか?」と聞き、 普段の運動量と運動での熱感のありなしを確認します。 悪い場合は「普段痛みはないですか?」「坐っている事が増えましたか?」等の
生活スタイルを確認します。

実際には足部の骨折の方は足部以外は元気なので、気にしない方が多い印象があります。
だから、できる限り悪くなってしまう原因を話をしながら、
本人に気づいてもらえるように話をします。

そして、痛みがあれば痛みどめを使う事、
腫れが残る場合は足を挙上させる「時間をつくる」ように伝えます。

またFWBを開始してから痛みがでる人もいるので、
片松葉杖は動く量とその時の痛みにあわせて、
屋内は独歩、屋外長距離なら松葉杖を使ってもいいですよと
徐々に松葉杖をはずせばいいと伝えます。

熱感がなければIcingは必要ないと考えています。
急性期は冷やします。運動量が増えて熱感がでたら冷やします。
つまり、急性期だからIcing、慢性期だから冷やさないというわけではなく、
必要に応じて冷やし、基本は温めて細胞と運動器が適切に反応できる患部に「つくっていく」事が大事だと思います。

また、全荷重がはじまって、立脚後期にて跛行を呈する場面もあります。
これはおおむね下腿三頭筋の筋力低下による影響があるので、
片足カーフレイズで筋力評価をして確認して、 自主トレーニングを励行し、
歩行場面では左右対称の歩行リズムで歩く事を指導します。
(適宜、両手を大きく振ったりしながら左右対称性をひきだしたりもします。)

足背屈のROMについては全荷重を開始したら、
立膝の状態で身体で膝をかかえながら、前傾して荷重をかけながら実施。
足底屈のROMについては内外反が許可されていれば、
四つ這いから徐々に正座exへすすめていきます。

足部の柔軟性やモビリティーはその後の運動パフォーマンスに影響を与え、
その後のスポーツなどの運動習慣がある人には
特に代償動作によるその他の部位への機能障害や痛みを 引き起こしてしまう可能性をもっています。 本当に発症後の治す時に治しておかないと後で動きが悪い、やっぱり痛くて歩けないねとなってからでは 取り戻すのにすごく時間がかかるので、
しっかりと自分で身体の「ケア」を意識してもらえるように 伝えられればと思います。


追記:
部分荷重時のROMと筋力exについて もちろん指示にあわせてですが、
NWB~1/3PWB時は、 足はタオルを使用してのassist-ROMexや
足指は徒手で入念に実施してもらいます。

筋力は緑のセラバンドを使用しての底屈exを励行。
またNWBより中殿筋の低下が起こらないように股外転exは励行します。
1/2PWBになってからは ROMはself徒手にてROMexやハーフスクワットやカーフレイズでの筋力exを実施しています。


【音速パソコン教室】
http://onpaso.org/a8m/

 

2012年4月15日日曜日

訓練中に心がける事~訓練環境を整える。用具や徒手での誘導、声かけで+αのリハビリをデザインしていく~

毎週土曜更新!と宣言したからか、多くの方にまたみていただけているようで嬉しいです。

今日は片麻痺を有する患者さんを想定した訓練場面で考えていますが、
どの患者さんでも必要ならば気にしています。
訓練中に心がける事は、立ち上がり時は3つ、歩行時に1つあります。

1.「そんな事したらできるようになるにきまってるじゃないか!」と思ってもらえる訓練環境をつくる。
代償動作等を行わせない、正常動作に近い動作しかできないポジションをつくる。
具体的にはクッションなどを用いて座面を高くする事。声かけや徒手で誘導をして前傾姿勢を促す事、
上肢でひっぱる動作が強ければ、握れないように板の上に手をおいて床を押す意識を促す。
結果、本人に「これならできるかも」と思ってもらえる所まで難易度を簡単にし、回数をこなせるようにする事

2.訓練前後、訓練中のバイタル管理を行う。
特に立ち上がり訓練をはじめてから3日間は確認。運動量を増やしたり、難易度をあげた場合も適宜確認。
訓練中は本人の疲労感や表情をみて確認。

3.正常動作に近い動きへの誘導、その際の筋収縮を徒手で触って確認を行う。
慣れてきたら軽介助であっても正常動作に近づくように誘導。
特に膝関節を触りながら四頭筋収縮を触知し、促しながらトレーニングするだけでも筋出力は上がります。

4.歩行中では、倒れやすい方向に介助に入る
倒れる方向は患側であっても、患側の前方なのか、後方なのか、反応は様々です。それを見極めて、
倒れやすい方向の場所に自分が支えられるポジションにいる事が重要です。前方に倒れやすい人は、
胸骨を支えて、いつ倒れてもいいように準備します。

訓練の選択、順番、負荷量は本当に難しいと思います。
しかしそこに思いがいっちゃうと患者さんの顔をみる余裕がなくなります。
そうなると、何が適切かがわからなくなると思います。
まず、自分は落ち着く事。そして「これくらいはできる」と評価して見極めた動作訓練を行ってみてください。
それが適切かどうかは患者さんが教えてくれます。

思ってたよりも動けなかった時は自分が過剰評価しているか、見落としている評価があります。
簡単にできた場合は、適切な負荷でなく、その日の訓練効果が薄くなってしまいます。

理想は自分が評価から考えた動きに近い動きをしていて、
訓練後、「ちょっと疲れたね、ただ一日一日変わってるね」という
笑顔と充実感が伴った感想をもらえたら、それは適切なリハビリができた証拠。
「今日もよかったですね。」と患者さんをほめてください。具体的にほめてください。

そして、いい訓練を提供できた自分もほめてください。
自分が患者さんの顔をみる余裕をつくるために、お互いにやりやすい環境をつくる事、
訓練効果を確かめられるように、相手に触って患者さんの状態を「手に残していく」事、

ちょっと抽象的になりましたが、相手の能力を最大限に活かすために、
「見て、聞いて、整えて、触って、ほめる。」
自分自身ができてると思った事は一度もないですが、「少しでもいいものを」提供したいなと思います。

2012年4月7日土曜日

なぜ理学療法士入門をつくったのか?~経験を共有する事で生まれる事~

まだまだ10本くらいしか書いてないのですが、「エピソード0」的な話をしてみたいと思います。
きっかけはfacebook作成中に

「なぜ「理学療法士入門」ってブログをつくったのか?
って発想からその理由を自分で考えてみたからです。
(もしよかったらfacebookもよろしくおねがいします。友達申請も大歓迎です。)

仕事はどこまでいっても目の前の相手の満足度​を追求していく事が第一。
ヒューマンビジネスであるリハビリは、直接目の前にいる相手に触れて
評価・治療・生活コーデ​ィネートしていく貴重な仕事。
だから担当するすべての患者さんに対して​責任がある。

そのために日々、治療技術の追求していく事と適切な評価から
正しくアプローチするリハビリをしていく​ために必要な考え方を探求する事は「内向きに」必要な事。

そして「外向き」に必要な事。
それは自分が経験した内容を「次世代」の​人へ最短距離ですすめるように、
同じ悩みを少しでも楽にクリアし​てもらえるようにつたえていく事。
(本当は経験しないとやっぱりわからないのが答えだとわかっている事です。だから臨床が第一だと思います。現場対応が8-9割を占めるんじゃないかとも今は思ってます。しかし、できる限り知っておく事、準備しておく事、具体的な場面を想定して捉えていく事は重要だと思ってます。)

またアウトプットする事で自身の考え方の整理にもなります。
だからこうやって情報提供する事はみてくれる人も書いている僕自身にも有益だと思ってます。

その自分の経験がみんなの経験として、シェア​できたらいいのではないかと思ったからです。
そしてそれがfacebook/twitter/mixiの考え方だと思います。

「インターネット上にもう一人の自分をつくって発信していく。」

MSWの親友と話してピンときた一言でした。
(新人医療ソーシャルワーカー(MSW)見聞録(http://wish0517.blogspot.jp/)もぜひ!)

こんな事を書いているけれども、実際はまだまだです。
それは僕が未熟だからで​す。もっとそれでもなお!真剣に挑戦できていないからです。
でも、その自分も受け入れてます。できなかった時は、まいっか!っ​て思ってます笑。
ただそのままにしないように、次はどうしよう。できる方法を検討します。

言うは易し。行うは難し。まだまだ実践中です。

追伸:
一般向けに、この理学療法の良さと必要性をわかりやすく伝えるブログも作成します。

また自分の考えに至るまでの経緯とその時に出会った書籍、人との会話​、会社経営者のドキュメント、
また今後新たに出会う人々から教えて​もらったピンと来た一言をupしていき、
「リーダーシップとは何か?」も具体的に考えてみます。

2012年4月1日日曜日

自分で座れない~脳卒中でマヒが重度の場合~治療編~

やっとこれをかけるタイミングになりました。
お待たせしました!!!・・・・・

あ。待ってないですね。勘違いしてすいません。
何かの治療の足しになれば幸いです。はい。

治療はその人によって異なるので一概には言えないですが、
「初期評価」編で書いた時の患者さんを想定して話をすすめます。
o.被殻出血
1.意識状態:クリア。年齢もクリアだがDMあり。
2.Br.Stage:下肢Br.stage Ⅱ-1 健側筋力 5レベル
3.座位バランス:手で支えれば静的保持可
4.筋緊張・腱反射・クローヌス
  安静時でかなりトーンが高く、クローヌスも膝・足ともに著明
5.ROM・深部感覚
 ankle df 0(passive) SLR 45°
 深部感覚は重度鈍磨  
6.寝返り動作:上肢介助して中介助

まず考える事は出血なので血腫がひけば改善早いかなと考えます。
感覚としてですが、やはり梗塞よりは出血の方が直りが早い印象があります。
既往にDMがある事を考慮するとやや疲れやすいだろうなと想定します。
また訓練を考える時、筋緊張を増悪させないように麻痺促通exを考慮する事、
深部感覚障害があるので、視覚的なフィードバックを鏡を用いて行う事、
寝返り時に上肢を忘れるので亜脱臼しないように注意していきます。

その中で訓練メニューとしては
麻痺促通ex・寝返りex・端坐位exを体力にあわせて10回を目安に実施します。

麻痺促通exでは徒手で内転と股屈曲だけを実施しました。理由は徒手exにて筋緊張があがってきたからです。途中から内転exでもトーンupしてきたので股屈曲のみを実施していき、
動作訓練を通しての筋力増強に切り替えました。

ROMexでは足背屈・SLRexを30秒以上かけて筋が緩むのを待ちます。
Ⅰb抑制の生理現象を期待しているからです。そして終わる際にはゆっくりと戻します。
クイックな刺激は筋緊張を誘発してしまうからです。意外と重要だと思っています。

寝返りexでは端座位バランスの向上を目的に実施します。
寝返りをくりかえす事で体幹の協調性をあげていきたいからです。

適宜休憩をいれながら、次に端座位exを実施。その際は鏡を前に用意しています。
膝周囲もハンドリングでサポートしたりと適宜assistを加えていきます。
その時のupしてくる反応によりますが、
静的保持→外乱ex→動的バランスex(体幹を前傾する訓練:最初はassist→徐々にactiveへ)と
徐々にレベルupしていきます。

その後、端座位exにて外乱にて保持できるようになってきた所で立位exを実施します。
特にこの患者さんは立位になるとgastroの筋トーンがあがってきてしまい、
立位バランスに大きく影響をだしたため、AFO装具で抑制をかけながら実施しました。

筋緊張の考え方としては、その筋緊張が動作上での阻害要因になる場合は考慮にいれますが
ただ臥床位にて筋緊張が高くてもあまり気にしていません。

この場合は最初は静的保持がやっとですが、あえてそこから体幹と患側下肢を全介助してでも
手すり把持してもらい、腱側の足をあげて、患側荷重exを実施していきます。

何かしらの感覚フィードバック(振動感覚・荷重感覚etc)を促通していく事で、
新しい身体の状態を把握してもらい、要領を得てほしいからです。

その訓練をつづけていき、軽介助になってきた所で歩行訓練に入りました。
(本当は全介助でもknee Braceつけてでもやりますが、この方は80kg以上あったので
 安全面を配慮しました。)

歩行訓練も最初は1往復から。徐々1往復×3セット。3往復×3セットと漸増的にあげます。
そのタイミングですが、やはり訓練時間は限られているので、どの訓練に重きを置くのかは
その人の状態によります。
寝返り・起き上がり・トランスファーは軽介助まで到達していたら歩行量をどんどん増やします。
起居動作ができていないのに歩行訓練に時間をかけるのは効率的じゃないと思ってます。



今回は訓練の中身を考慮していきました。
やり方・考え方は人それぞれです。どんな方法でもいいと思います。
ただ、いつも心にとめる事は

本人とその家族が望むゴールを最大限に考慮していく事であり、
その目標から逆算して考えていく事。

歩きたい。その目標は到達可能なのか?現実的か?現実可能だろう。でも。。。。

3カ月かかるな。そう判断したら、
1か月でどこまでできるようにしていこう。
1週間でじゃあここまでできるようになってほしい。

だとしたら、今日1日のリハビリで

ぼくはどこまで訓練時間の作り方と訓練「内容にこだわってリハビリしていけるんだろうか。

自然回復があるので、どんな内容でも改善するとは思いますが、
やっぱり自信を持って、いいものを提供したい。
そんなこだわり、プライドを持って仕事したいなっていつも思います。

2012年3月21日水曜日

なぜもとのADLは歩行器歩行だったのか?~SOAPにストーリーを、カルテをみるすべての人が共通できる情報を~

だんだん副題が長くなってきました。(笑)
そして当初の企画であった、できる限りシンプルに簡単にから逸脱している感もありますが。。。
短いけど、内容のあるものを適宜更新します。
今回は特に概念的です。わかりにくいとは思いますが、うまくキャッチしてくれたら幸いです。

今回はパーキンソン患者さんが転子部骨折をした際に
初期評価から今後の予後を含めてどのように推測し、訓練するものなのかを考えます。
Oで何の情報をとるのか(今後評価する項目は更新)は人によってまちまちですが、
Aを書く時、何がこの人の訓練の阻害要因になっているのかを正確につかむ事が重要です。

パーキンソン症状においてはPTではどうしようもありません。
on-off現象があるなら訓練時間を調整する事は考慮します。

運動時や荷重による痛みなら、病棟にお願いして坐薬などの投薬コントロールをお願いします。
同じ痛みでもOA(変形性関節症)などによる慢性的なものはしょうがないと思います。
我慢できる範囲でやってもらいます。
ポイントはope後の急性痛はできる限りコントロールしていきたいという事です。(※)

評価ではDisabilityができない理由はImpairmentレベルのここが原因だと考えます。
訓練ではImpairmentレベルでここが改善されてきてからDisabilityがこのように変わった。
だから今後の経過としてはどうなっていくだろうと予測をかく。
その記録に根拠にストーリー、つまりつながりがなければ伝わりません。

訓練がスムーズにすすむ人ならいい。そんなに考えなくても良くなる人ももちろんいます。
しかしスムーズにすすまない場合、
何が一番じゃましているのか。そして「それはPTがアプローチできるものなのか?の考えを記録に
反映させてください。

その意味で初期評価はやはりかなり重要です。
Aで答えがうまく捉えられない事もしばしばあります。
それは日々の訓練の中で適宜修正していきます。
Aでその捉えた変化を、自分の思考を端的に書いていきます。
Disabilityの原因となっている1番手、2番手、3番手をきめる。そう決めた根拠を記載する。
その中で対処できる事に着目し、PTが関われる事はどれか?それにこだわって訓練していく。

先輩達によく言われます。
「評価して気づけない、わかっていないならしょうがない。でもわかっているのにやらないのは問題だ。
改善する努力をせずにリハを実施している事になる。リハで悪くしている可能性だってあるよ。」と。

何となくよくなる場合もある。でも限りなく何でよくなったのか?を経過を追って評価していく事は
医療としてのリハビリの価値を高めていく事にもつながり、
まわりのスタッフに納得してもらえる材料になり、
自分自身が自分のリハビリに自信と実績を持てる結果につながると思います。


(※)急性時、投薬コントロールをしても痛みがでる場合(face scaleで2/5以上)であれば、
訓練をやめるわけではなく、痛みがでない訓練を考慮します。
なぜなら疼痛コントロールした上でまだ痛いというのはかなりの痛みです。
まず自分なら絶対にやりたくない。(笑)
最大の理由は痛みが慢性化してしまう事を避けたい、痛みがでる訓練を実施してリハびりのモチベーションを下げたくない、痛みが「記憶に残る」のを避けたいという理由があります。

2012年3月9日金曜日

THAはプロトコールで3週間。だったらリハにもプロトコールがあってもいい。でも大事なのはプロトコールじゃない。

少しずつ浸透してきていて、多くの方に時間をつくっていただき、みていただけているようです。
本当にうれしい。ありがとうございます。これからも自分の感じる臨床を文字にして伝えていきます。

今回はTHAのリハビリ訓練の進め方です。
当院では術前評価を行います。
その後、3週間をかけて杖歩行あるいは独歩を目標に訓練を行います。

人によりけりではありますが、
POD1 assist/activeにて股屈伸ROMexにて股関節のボディーイメージup
     立位訓練(荷重感覚の促通)
土日休みをはさんで。。。。。

POD4 平行棒3往復 
     activeでの股屈伸ROMex・assistでの股外転ex継続・
POD5 平行棒3往復×3 患者さんに荷重痛がなければ歩行器40m
POD6 平行棒5往復×2 歩行器歩行 120m×2 
     側臥位での股外転exを開始。(assist or active)
POD7 歩行器歩行 200m×2
POD8 歩行器歩行200m×2 平行棒片手で実施

とすすめていきます。
POD7で歩行器を200mすすめていくのは病棟フロアが当院は200mだからです。

土日病棟で歩行器歩行を実施してもらう。
次の週からは歩行器は実施せず、
POD11 平行棒片手歩行5往復×2 杖歩行40m
POD12 杖歩行40m×3
POD13 杖歩行120m×2
POD14 杖歩行200m×2
POD15 階段昇降1往復開始

次の土日で病棟で杖歩行を開始してもらう。(プロトコール通り)

POD18 杖歩行・階段昇降3往復・脱臼肢位の指導開始
POD19 痛みなければ平行棒でフリー歩行・応用杖歩行400m(階段昇降含む)・脱臼肢位の指導
POD20-21 本人から困っている点を改めてチェック。退院。

頭の中にはこのイメージがあります。
THAの人はその日の状態がいいからといって進めすぎないようにしています。
理由は痛みと腫れをださなければ勝手によくなるからです。
もし訓練の次の日に痛みの訴えがある場合はその日は無理にすすめず同じ種類と量で行っています。

ただどんなに同じ疾患であっても必ず話を聞いて、手で感じる反応、本人の言葉の反応を
ちゃんと聞くようにしてます。より聞けばきくほど、触れば触るほど、
患者さんは楽になります。セラピストも必要な訓練をしぼれます。お互いに気持ちよくできます。
まわりのスタッフが安心して仕事を任せてくれます。

自分の仕事に一定の「基準」を設ける事で、自分の仕事を客観的にとらえて余裕をもって、
患者さんに向かえるようになってきたなと実感しながらよりいいものを提供できたらといつも思ってます。

2012年3月5日月曜日

歩行練習~見守りをはずすのはどのタイミング?~

2週間ぶりです。
これからはどんな些細な内容でも少しずつ配信していきます。
治療編はまた次回にします。

訓練場面にて歩行訓練中に
「じゃあ自分で残り(訓練室を)3周しましょう!」と
声をかける事があると思います。

ではそのタイミングをいったいどこで決めているのか?

カットオフとして使用しているのは10m歩行スピードです。
基準に
10秒以内:屋外自立
20秒以内:屋内自立

があるので20秒をきった時、運動量をこなしたい時は自主練習として上記声をかけます。

20-30秒のラインが一番悩む所でして。。。。
そのスピードでしか歩けないほど、不安定さが残っているため、
ぼくはこの場合は運動量をこなしてほしい場合は平行棒にて自立歩行してもらっています。
そして歩行器or杖歩行は少量にしぼって必ず見守りをするようにしています。

本当はマンツーマンですべての訓練に見守り・介助につけば一番いいと思います。
しかし担当人数が20人を超えてくるような職場ではそれは厳しいと思います。
できる限りの安全配慮の中で、その人に必要な運動の質の向上のために、運動持久upのために
ある一定の基準を設けておくのは担当するPTとして必要かと思います。

もちろん認知症がある、安全配慮が乏しい、パーキンソンなどの基礎疾患が合併している場合は
基準の限りではないですが、自分の担当する人がみんなが満足してもらえるようなリハビリを
提供したいと望むのであれば、できる限り計画的に効率的にどうしたら「お互いに」取り組めるのかを
日々考えていく事が大事になるかなと思います。

追伸:今後は今まで書いた分も含めて、なぜその考えに至ったのか。
    参考にした文献もあわせて載せていきます。またみてやってください。

2012年2月16日木曜日

自分で座れない~脳卒中でマヒが重度の場合~初期評価編~

今回は、脳卒中の方で重度麻痺を呈している方の初期評価とその予後、
本人・家族のニーズが「歩きたい」「歩けるようになってほしい」場合を想定して、
評価項目から検討します。

各週で行っている勉強会で
「どうやって初期評価をして、治療を行っているの?」との質問から端を発しています。
なるべく簡単に。

0.電子カルテで情報をとる
 年齢→やはり年齢が若いほうが改善が早いです。
 既往歴→基礎疾患や生活習慣を確認。リスク管理や運動負荷を考慮できる。
 CT・MRI画像→出血や梗塞巣の大きさ・部位を確認。
        運動機能や高次脳機能障害がでるだろう事を予想するため。

車いすではじめて来室した来た時を想定しています。
以下の手順でおおむねすすめていきます。(あくまでも参考です。)

1.意識状態・コミュニケーション(車いす上)
 JCS/EVMの両方で表記。訓練従命が入るかどうかをチェック。
 やはり意識がクリアの方が改善は早い。
 血圧もあわせてチェック。
2.Br.Stage・健側筋力(車いす上)
 上肢はOTに確認。下肢機能は股屈曲できるかを確認。(下肢Ⅲより上か、下かを判断。)
 できない場合、重度と考えて、健側筋力を測定。
 座位でできる股屈曲、膝伸展、足背屈をチェック。
 MMT 4以上であれば、トランスファーは軽~中介助と想定。

3.トランスファー能力・坐位バランス
 1.2で総合判断して、介助量を想定。はじめての時は全介助する場合もあり。
 そのまま端座位ex実施。静的保持できるか、外乱刺激に保持できるか、
 動的に動けるのかをチェック。
 静的保持ができない(座れない)と判断したが、背臥位になる際は全介助する。
 (体幹コントロールがとれていないため)

4.筋緊張・腱反射・クローヌス
 背臥位にて触って左右差を確認して緊張の違いをチェック。
 そのまま表在感覚を確認。
 いつも「違いありますか?いい方がが10なら悪い方はどれくらいですか?」と聞きます。

5.ROM・深部感覚
 ROMにてSLRと足背屈を確認。その際にも筋のつっぱり感がでるかをチェック。
 (被動性(動かされた事)による緊張の亢進があるのかないのか)
 その際に股・膝・足それぞれに位置覚をチェック。
(例:股関節の場合:閉眼してもらい、SLRにて上下に5回程度
   他動的に動かして答えてもらう。)
8.再びBr.stageⅡor失調検査
 レイミステ反応か、activeでできるのかをチェック。

9.寝返り動作・無視or身体失認あるかの高次脳チェック
 介助量をチェック。
 その際、上下肢を意識して介助できるのかどうかで高次脳障害をみます。

10.訓練
麻痺促通ex・寝返りex・端坐位exを5-10回を目安に実施。
その時に適宜判断。
訓練終了後の血圧をチェック。
sBPが安静時20-30mmHg以上upまたは「疲れた。」などの自覚症状を聞いて終了。

この流れで30-40分。休憩を含めながら行っています。

この流れで本人の運動機能の状態を把握する事は「必要」ですが、
大切なのはこのやり方とか技術ではないと思っています。

大事な事はいかに本人に疲れさせないように楽にできる事に配慮する事であり、
セラピスト自身が余裕を持って理学療法に取り組む事ができ、
何より患者さんの気持ちに触れる時間をしっかりとつくれるになる事、
お互いを知り、信頼をつくりあえる事に楽しみや喜びを持ってほしい、
自分自身も持っていきたいと切に思ってます。

次回は治療編を考えていきます。

2012年2月11日土曜日

リハビリでの運動負荷の方法~廃用・ope後・認知症の場合~

訓練中に気にして行う事。訓練の導入の仕方を考えます。

基本はやはり評価に基づいた治療です。
患者さんの「できる」とセラピストが思っている「できる」の評価がずれてしまうと、
患者さんはただ疲れてるだけ。僕自身も「あれ~。できるはず。。。。。」と
適切な評価ができなかったために、無理無理「ただやる」だけに。
新人の時、すごく悩みました。

この評価から決定する方法が臨床経験を踏まないとわからない難しさと面白さだと思います。つまり訓練の難易度の設定を考える事が必要。
大事な事は適切な評価のもと、患者さんに達成感、つまり「できたね!」と
成功体験を持ってもらえる事をこころがけます。
自分の良くなっているに気づいてもらえるようにほめる。
できる限り具体的にほめます。その事を本人に気付いてもらう事が大切だと思います。

またセラピストとしては、動作能力と本人の気持ちのいい反応が引き出せたなら
その時、本当に心から一緒に喜べます。少しでも違和感、ズレを感じたらすぐに修正(再評価、訓練方法の変更)をするようにします。
(セラピストの介助・ポジション、適切な声かけ、ジェスチャーは後述。)
今回はその時のステップアップの方法を簡潔に考えます。

・廃用による筋力低下の場合
 筋力MMT3以下の場合、個別に筋力増強を行う。
Upの仕方は背臥位にて徒手抵抗で10回実施。
イメージはその人の最大筋力の50-60%で行う。
(特に股屈曲・外転筋である腸腰筋・中殿筋が落ちやすい)
その後、持久力upの目的でactiveにて30回実施。
それも実施できるようになったら抗重力位にてactiveに運動。
ここまでできれば3+レベルに到達できているので、個別筋力増強をやめて、
抗重力運動としての立ち座り・ハーフスクワット・カーフレイズを10回ずつ実施。
こなせてきたら30回実施。それも可能になれば踏み台昇降exにて筋力増強。
その時点で歩行は到達できるレベルになっているので徐々に歩行距離upもはかります。
訓練の終了基準は「ちょっときつい」運動。Borg Scale 12-13をこころがけます。

イメージは10回程度こなせる質の向上(筋力up)と
30回はこなせる「量」の向上(筋持久力up)を狙っています。

・術後疼痛を伴う場合(骨折や人工関節後の場合を想定)
 痛いのはNGと考えています。Face scaleで1前後までです。
しかしそれは実施しないと言う意味ではないです。
術後で痛いのはもちろんなので、運動時、荷重時のf.sが 3以上であれば
坐薬での疼痛コントロールを病棟にお願いしてます。
それでもf.s3以上であれば患部に対するその幹部へのアプローチは時期尚早と考え、
痛みのでないようにアプローチを変える、
やり方・運動量を変えて、筋力増強を多めに行います。

・認知症が重度で訓練従命が入らない場合
 指示が入らない場合、動作訓練を通しての筋力増強を行います。
立ち座り・横歩き・歩行が中心になりますが、
少し介助が多くなったとしても誘導して歩行訓練等を行います。
終了後は、自覚症状が聞けないので表情やバイタルサインなどの
他覚症状で全身状態をチェックしています。


どの訓練場面においても必ずタッチするようにします。
痛みの場合、どこが痛いのか、何をすると痛いのかを話してもらい、
熱感の度合いも含めて触りながら教えてもらいたいからです。
筋力増強に関しても狙った所が鍛えられているのかを触って確認します。
なので30回行う時は最初の2,3回は必ずチェックします。
効果的な訓練をしてほしいからです。

まだまだ半人前ですべてを実行できているとは思っていません。
しかし患者さんが少しでも楽に、リハビリした事が実感を伴って
動きと気持ちに反映してくれればといつも思ってます。

2012年1月28日土曜日

2型糖尿病の運動療法後編~糖尿病療法指導士としての役割~

c.どれくらいやるの?
直後効果としては、
1日合計で!!1時間です。消費エネルギーとして240kcalを消費してください。
毎日運動する事が最終目標です。
分けても良し。まとめても良し。量をこなすが良しです。
20分をまとめてでもかまいません。3分と小分けにしてもOKです。

実際は生活動作でデスクワークや屋内生活中心の日は
実質、20分は動いているので「40分」分の運動をお勧めします。
通勤など、屋外生活が中心の日は40分は動いているので、
実際には「20分」分の運動を行うと思って下さい。


こう聞いて・・・・・いや~毎日は厳しい。
そんなにできる暇がない。そんなにやれないよ。
そう思う人がほとんどだと思います。
なぜならもともと低体力の方が多いです。
糖尿病は生活習慣病である事からも、運動する習慣がない人が多いです。
(習慣の行動変容については後日記載。)


そこでアピールすべきポイントは、
継続効果についてです。またこっちがかなり重要です。

運動によって血糖が筋肉に入り込みやすい状態は48時間つづきます。
なので週3回(ex:月・水・金・土日のいずれか)と1日おきで実施してください。
3日目以降から運動による効果が減弱していき、1週間でなくなると言われています。
なので、まったくやったことがない人は最低でも週1回から始めてみてください。
そして何曜日の何時にやろうと決めていってください。

例えば・・・
体重65kgのあなたが20分運動したと仮定するとこれだけ消費されます。

(目安)
歩行 68kcal
体操  80kcal
自転車 90kcal
掃除  80kcal

d.いつやるといいの?
食べ始めから60分後です。空腹時・食直後を避けてください。
これは2つの理由があります。
1つは食後の高血糖を改善する目的。
2つには運動中の低血糖症状を予防するためです。
特定の薬物療法中(インスリン療法やアマリール等SU薬etc)の方は、
60分後程度に行うのが適切です。

e.運動前の準備として
1.風邪などの症状なく、体調は良好か?
 →シックデイ時は血圧・血糖ともに不安定になります。
2.足のサイズに合ったシューズか?
 →糖尿病からの皮膚損傷を起こさないため。(靴ずれ等)
3.こまめな水分補給ができるか? 準備体操は行ったか?
 →血液循環を良好に保ちましょう。
4.万が一の低血糖発作のためにブトウ糖は持参しているか?
→ジュースやお菓子でも構いませんが、
  お薬と同時にもらうブトウ糖の方が消化する過程がなく即効性があります。

3.運動を「続ける」には
1.なぜ運動がいいのか。知識を理解する事が必要です。
ex:糖尿病教室の利用
2.具体的に目標を立てる 
ex:いつ運動するか?(木曜19時etc) 
   どれくらい減量?(体重計に乗る)
3.実施記録をつける
 ex:カレンダーに記載。万歩計をつける。 数値をみてモチベーションを維持。

注意点(疾患別)
・高血圧を持っている人は朝の運動は控えてください。
 血圧が乱れやすいからです。
・関節に炎症を伴う痛みがある場合は座位など痛みのない運動を優先してください。
・糖尿病性足部病変が近年、増加しています。
 フットケアの徹底(足裏のチェックや爪の切り方等)と適切な靴選びを徹底してください。
 また無理に歩行にこだわらず、ハーフスクワットやカーフレイズ等の抗重力運動を
 推奨してください。
・狭心痛をきたす恐れのある人は 屋内にて環境温度を保ち、
かつ人と一緒に実施してください。

気をつけなきゃいけない点はあります。
しかし糖尿病は自分の身体をしっかりコントロールすれば
健常人とまったく同じ生活をする事ができます。
大切な事はその人の生活にいかにバランスよく、
食事の取り方・薬の使い方・運動の仕方が行えるかだと思います。
少しでもその人の心が納得できるような話を伝えられたらとつねづね思っています。

2012年1月22日日曜日

糖尿病の運動療法前編~糖尿病療法指導士としての活動~

もともと内部疾患に興味を持っていた所で職場での人との良いめぐり会わせがあり、
病院の糖尿病のチームに参加させてもらってます。
これから書いていく内容は僕が2年間かかって勉強した成果です。
だから少し長いです。少しややこしいかもしれません。その時はすいません笑
ただ少しでも伝わって、考え方の参考になれば本当に嬉しいです。

結論として、大事なポイントは2つ。
1.きついのはダメ!
2.量をこなす事が重要

という事です。
<3つのテーマ>
A.運動の効果は?
B.どんな運動がいいの?
C.運動を「続ける」には?
にしぼって話していきます。


A.運動の効果は?

運動の効果は、
「動いて血糖を消費する」
「血糖をとりこみやすい筋肉づくりをする」
の両方があります。、
直後の効果(急性効果)と 継続の効果(慢性効果)です。

運動の直後効果は直後に血糖を下げます。
食後の高血糖を指摘されていて改善をはかりたいのであれば、
食後(食べ始め)から1時間後に運動すると効果的です。

大事なのは2番目。
継続的に筋肉に糖が取り込まれる筋肉(体質)にする事です。
ある一定の方法で行うと運動していない時でも、勝手に血糖が筋肉に入っていきます。
そしてその運動による効果は48時間続きます。

B:どんな運動がいいのか?

a.運動の強さ
年齢によってやや異なりますが、
脈拍数が1分間に 100~110拍程度 (目安)の運動が適切と言われています。

しかしここで重要なのは自覚症状(Borg Scale)です。
目安は11: 楽である~14:ややきつい~きついの間です。

運動しはじめの方、低体力な人は11をすすめています。
理由はややきついでは長続きしないからです。
その日の量もこなせないですし、次の日、次の週に向けても
運動を続けられない、続けようという気が起こらないからです。
大事なのはいかにやってもらえるか、いかに続けてもらえるかが大事で、
ポイントにもあげた通り、量をこなしてほしいからです。
運動慣れしてきた人は14まではOKです。

b.運動の種類
何でもいいんです。
筋力トレーニング・腕を振って歩く・体操(ラジオ体操、太極拳etc)
プールで泳ぐ/歩く・自転車こぎ・自宅の掃除すべてOKです。

歩行を良くすすめられると思います。
それは歩行が一番簡単に全身の筋肉を動かす事ができる運動だからです。
ポイントはやり方が大切だという事。
よりたくさんの全身の筋肉を動かしたいので、
いつもより大きく、ダイナミックに動いてください。
その方法の一つが「手を大きく振る」という動きです。

またいろんな種類の運動を組み合わせると効果的です。
いろんな動きをする事でいろんな箇所の筋肉を動員できるからです。

ただ大切なのは相手にとって「これなら続けられる」「これは好きだからやる」と
思ってもらえるかどうかです。
なので、できる運動で習慣してもらうが大事だと思ってます。

例えば・・・
変形性関節症などの影響による痛みがあれば水中歩行やハーフスクワット。
雨の日で外にでれない時でも室内でラジオ体操。
歩くのが辛ければ自転車こぎ。
運動がちょっと気がすすまない、忙しい主婦(夫)であれば掃除などの生活動作を
大きく動いてやってもらうのも運動になります。
(ただし生活習慣病の高血圧症や高脂血症の場合は、
 掃除などの生活動作は除外されると思います。)

                                  ~後編に続く~

2012年1月16日月曜日

筋力 臨床家が考えている(であろう)MMT0.1.2,3-,3,3+,4,5の違い

「筋力は質的な動きを評価するんだ」
25年のベテランが言っていた言葉です。 ブレイクテストで習うぼくには

。。。。。質。。。。????
筋力なのに。。。。。質???
って何だ。それが最大の疑問でした。

実際にどのように判断するのかの基準を
ベテランのアドバイス+自分の発想をあわせて端的に書いていきます。

MMT 0-2
ポイントは麻痺していると言う事。
麻痺の度合いの表記という発想。
1年目の時、術後の患者さんの
筋力評価で股外転MMT2とかいて怒られました。
「何だ。麻痺があるのかってね。」

MMT 3-,3
動かせるけれども自分で思うようには動かせない。
(3-:教科書的には抗重力域に対してROM最終域まで動かせない)
(3:教科書的には抗重力域に対してROM最終域までは動かせる)
ポイントは動きが「かなりゆっくり」という質がある事。

実際にMMT3の動きをイメージして真似してみてください。


。。。。。。。。



そう!そのゆっくりした感じです(笑)


術後の浸襲等に伴う痛み等に伴って、筋出力がうまく発揮できないなんだと伝えたい時。
また座位では(OKCでは)自由に動かせるが、
体重がかかるとうまく筋力を発揮できない状態という事。
(中殿筋の筋力低下でトレンデレンブルグ兆候がでる等)

MMT 3+
自分で自由に動かせる事ができ、体重がかかっても
短距離であれば歩行に影響ないだろうと判断している時。
またここまでが個別の筋力が必要と判断していると伝えたい時。

MMT 4.5
ここで考え方が変わる。
5とつければ動きに障害があっても筋力トレは必要なしと判断。
また何か歩行障害がある時、筋力は問題ないと
判断していると伝えたい時。

4は歩行などの動作に大きな影響はないが、
バランストレと筋持久性upが必要と判断していると伝えたい時。


見極める事はすごく難しい。ただMMT ? って書いた時に自分の意志を反映させてほしい。
そしてその評価は本人の動きをあらわすものであり、また相手に納得してもらうためのもの。

第7版のMMTの教科書にはかいてない事ですが、臨床での生きた評価方法だと思ってます。

2012年1月9日月曜日

評価~動作が上手にできない。~

少し概念的な話になります。
今回のポイントは、
評価は相手の適切な身体機能と理解力を把握する(基準を持つ)事と
相手にあわせた適切な声かけ、ボディーランゲージする(伝達手段を持つ)事が重要という話です。
「うまく立てない」場合を例にあげて考えてみます。

例えば自分が評価して、相手の動作が予想していた動作と異なる場面があります。
ここで最初に考える事は何かしら自分の身体機能評価において、
評価もれor過大に評価している事を考えます。
そんな時は相手に「どうですか?」と確認。「大変。」「痛い。」などさまざまありますが、
「どこですか?」と確認。「腰。」「膝」さまざまですが、その部分とその部分の身体機能の上下
(膝なら股・足部のチェック、腰なら体幹、股部のチェック)のチェックをして再評価します。

 もう一度チェックしてやはり機能的には立てるだろうと判断したとします。
その次の問題点は「身体の使い方がうまくわからない」場面です。
相手は怪我や病気によって入院し、またそれによる廃用などの影響から「新しい身体」の状態で
リハビリがスタートしています。

そんな時は環境設定をしていきます。
・具体的には手すりを持たせる(上肢の介助を利用する)
・座っている座面を高くする(運動負荷を下げる)です。
つまり動きそのものを思い出してもらうために反復練習をします。
その際、ハンドリングと声かけにて正常の立ち上がりパターンを誘導して
動きを覚えてもらうorさらなる運動負荷の軽減をはかります。
(ここは経験を積んだ先輩PTはかなり適切。ぼくはまだまだ未熟です。)

もうひとつのポイントは「声かけ」の仕方です。
(ここも経験を積んだPTの先生達のうまさですが。。。口頭指示でもできる人はできます。)
口頭指示だけではなく自分の身体を使って、例えばジェスチャーや見本をみせて伝えます。
理解していると実践できるとは別問題だからです。
(イメージとしては自分自身が新しいスポーツをやる時と一緒で、「口説明のみ」と「口説明+プレイをみる」だとどっちがわかりやすいかという感覚でとらえてもらえればと思います。)
なので相手をみながら、なるべくわかりやすく、シンプルにする事を心がけています。

ここから最近いつも考える事は、
伝わらないのは自分側の説明不足なので、決して相手は悪くないって事です。
必ず本人にわかるようにいろんな方法で伝えてください。
実際には認知症が重度の相手もいて、指示がまったく入らない場面ももちろんあります。
たとえそうであってもできる方法を評価して、目標を立てていく事が大切と思ってます。

そして後は反応良くできたら、ほめてください。できる限り具体的にどこが良かったとほめてください。訓練が終わった時、お互いに笑顔で終われる事を意識して日々取り組んでいます。

2012年1月7日土曜日

はじめに~ダメな僕でも人並みになるために~

僕は自分の事をできるPTだと思っていた。いや、できるPTだと勘違いしていた。
今から考えるとそう思わないときっと自信が持てなかったんだと思う。
そんな心持ちで取り組む仕事はやはりいい仕事ではなかった。
まわりから言われるごとに1つ1つの問題を自分なりに解消していった。それでも言われ続けた。
「いったい何がいけないんだろか?」その疑問はどんどん強くなっていった。
自分の仕事に対する取り組み方、考え方の根本に疑問を持つようになった。

その時、最初に感じたのは時間の組み方、タイムマネジメントの組み方が悪いという事だった。
(本当はここは2番手、3番手に考えるべき事なんですが。。。。)

担当する人数が20人前後になってくると訓練時間が進むとともに待たせる患者さん(訓練室に同時にいる患者さん)が4-5人と多くなり、それに対してあわてふためいた動く自分がいて、その自分をみてまわりのスタッフが「何にもリハできたいないじゃないか」と判断する基準の一つなんだと感じた。

2つ目には1人1人に対する患者さんへの評価・対応の仕方でした。
(これが一番大事な事です。改めて感じる事です。)
僕は頭がいいと(・・・・・勘違いして)思っていたので、
相手の話を少ししか聞かず、自分の感覚を働かせて、きっとこうだろうなと勝手に判断していました。そしてその感覚が70-80%は合っていたのでそれでうまくいっていた感覚があったし、患者さんは体を動かすこと・動けるようになる事を目的に来ているんだからそれでいい。20人もまともにみれる時間もないし、等といろんな「できない理由」をつけて相手をないがしろにする場面もありました。
(今、考えればたいした事できないのに偉そうに仕事をしていたと思います。)

そんな僕でもリハビリが終わって退院した患者さんの中には、診察を受けに来た時に「ありがとうね」とお礼を言いに来てくれる人もいたので特に大きな違和感を感じていなかったのです。

そんな中、腰のre-opeで予定手術を受けに来た50代男性を担当した時に喝をいれられました。
「俺はない時間をつくって手術を受けに来ているのに何だお前のその態度は!」
また技師長からも「お前は患者をなめてる!おまえやめろよ!」と言われていました。

それはちょうど2-3年目の時でした。
自分としてはしっかりと「体への」アプローチはしていたので、何でそこまで言われるんだろう?
まだまだ技術が足りないのか?いろいろ思い悩みながらもまた次から次へと怒られる日々が続きました。

技師長からは「とにかく患者をみろ」と言われました。
(言われた当時は心の中ではみてるわ!!と思ってました笑)
それからただ誠実に誠実に、しっかりと話を聞いて対応していきました。

すると自然とスムーズに訓練が進むようになったのです。
また患者さんの笑顔も心なしか多くなり、今までより多くの人の共感を得られるようになりました。

技師長からも
「しっかりみれば患者が変わってくるだろう」と言われるようになった。

何が変わったのか?
それは話をより徹して聞くようになった事。
何を訴えているのかを正確に捉えられるようになり、
評価をマニュアルに乗っ取ってのみやるのではなく、
患者さんの訴えをもとに必要な部分だけに集約してとらえる事ができるようになったからだと思う。

患者さんは訴えを聞いてくれているPTに安心できる、PTもその訴えを中心軸にとらえて評価する。
患者さんは動けるようになって嬉しい。ぼくは正確に評価できる、訓練もシンプルでいい。

相手の体の状態と心の訴えに対して、win-winの関係性をつくれたからだ。

これからブログをupするにあたって、
評価の仕方、訓練の進め方等を更新していきます。
しかもできる限りシンプルな内容にします。
「え?そんな内容も??」って部分もあると思います。
(その部分は読み飛ばしてください笑)

そしてあくまでも参考の意見としてとらえてください。
(できる限り考えの根拠は文献や教科書から抜粋していきます)
読んでくれているあなたも違えば、現場で対応していく相手ももちろん違うからです。
ただ少しでも悩み解決のたしになれば嬉しく思ってます。

1つの変化を見逃さずに適切なアプローチができる事を目指して精進していきます。
目指すは患者さんが喜び、その喜びが自分の喜びになり、部署と病院に貢献していく
「win-win思考」を超えた「win-win-win」思考!